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夢の中で
──真っ白な光が一面に広がっている
眩しい
そう思った瞬間に光が少しずつ薄れていき、目の前がはっきりと見えた
ここは…?
木製の長椅子が縦にいくつも並び、色とりどりのステンドガラスが輝いている
首だけくるっと振り向いてみると十字架が
教会、か…?…って、えっ、何この格好…!
ふと自分を見てみると、真っ白なタキシードを着ていて驚く
まるで結婚式だ、なんて思いながら顔を上げると、そこにはさっきまではいなかったはずの彼が
「先生、おめでとう。お幸せにね」
待てよ…なんで急にそんなこと…
これは僕の夢の中、だから、きっと隣には彼がいて、そんな彼との結婚式なんて、現実ではきっと叶わないだろう幸せな夢を見ているのだと思ったのに
「だって先生、好きな人出来たんでしょ?」
そう言いながら後ろを向いて歩き出す
彼の表情は分からない
そうか、あんなこと言ったから、こんな悪い夢を見ているんだ…
…夢でぐらい幸せな夢を見せてよ…!
夢なんだから、本音を言ったって構わないよね…?誰に問いかけるでもなく、自分に言い訳をして
…っ違う…!僕が好きなのは…!!────
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