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第4話
「けど、いつもと一緒だよ。俺が9歳からずっと書いてる『欲しいもの』を書いた。なんでか知んないけど、9歳の時から一度もプレゼントしてもらえてないんだよなぁ。それまでは、欲しい物を必ずくれたのに」
「……サンタさんが困るようなプレゼントを書いたんじゃないか?」
「うーん、そうかなぁ」
ケーキ用の皿を祐輔の前に置きながら、わざらしく忠は首を傾げた。
「それに、クリスマス当日に手紙を書いても、サンタさんには届かないんじゃないの?」
綺麗に6等分に切り分けたケーキを、倒れないように祐輔は皿に盛る。サンタクロースの砂糖菓子と苺も乗せた。
「…諦めたのかい?」
バランスを崩して、サンタがケーキの上から落っこちた。
「まさか」
皿からも落ちたサンタを、忠がひょいと掴み取る。
「もう準備する時間がなくてもいいかな、って思ったんだよ」
サンタの行方を捜すように、祐輔の瞳が忠を見た。忠の瞳にも、皺があるものの実年齢よりも十分若く見える色素の薄い祐輔の顔が映る。
「十分…時間はやっただろう?」
そう言って、パクリとサンタを一口で忠は食べてしまった。その様子に、祐輔はゴクリと喉を鳴らす。
震える祐輔の手に、そっと忠は手を重ねた。ビクッと跳ねて、咄嗟に離そうとした祐輔の手を、逃がさないようにきつく握りしめる。そして、相手の奥底を見抜くような瞳で、じっと祐輔を見つめた。
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