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第5話
「ねえ、祐輔。なんで41歳にもなって、独身のままなんだよ?」
「ねぇ、どうしてさっき、俺が願い事を諦めたのか心配したの?」
「どうして俺からの手紙を、ずっと大切に机の引き出しに入れてるの?」
祐輔の答えを聞かずに、問い質すように質問を続ける。
「た、だし…」
戸惑う祐輔の姿に、クスリと忠は甘く笑う。
「俺たちもカップルになったら、あのイルミネーションを見に行っても変じゃないよ?」
「っ!?」
そして、手紙を空いている手で持ち、席から立ち上がると祐輔の手を握ったまま相手の前へ立った。
手紙をスッと祐輔の前に差し出す。
「ねぇ、16年分の俺の願いを叶えてよ?俺のサンタさん」
―――『サンタさんが欲しいです』
俺の家には、サンタがいる。
今夜は俺のベッドの中に、プレゼントが贈られていそうだ。
END
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