1 / 13
第1話
今年も見事な桜が咲いた。
大きな学園だから桜も見事なものが多い。
そんなことを思いながら、先ほど参加した卒業式の会場をこっそり抜け出した。
本当は教師だから、残ってなきゃいけないんだろうけど、臨時教員だし、そんなにすることないだろうと思ったからだ。
あーあ。これで皆ともお別れか…。
桜を見上げながら、感傷に耽る。
あ、紹介が遅れましたが、僕はここ、花森学園の臨時国語教員、中森桃也 です。
皆からは、ももちゃんって呼ばれてます♪
童顔だし、背も低いから、同級生に見えるって言われるけど、一応27才です。一応。
花森学園は、一言でいうと金持ち学校。
金持ちの坊っちゃんたちが通う学校で、設備も教師も一流ってことで有名。
何でこんな学校で僕みたいな一般家庭で育った僕が臨時教員になれたかというと……話すと長くなるから割愛します。
とにかく、今日で僕は晴れて自由の身になれるのです。
だから、僕は会いに行きます。
この学園のかつての王様、花森紫音 くんに…。
まずは三年A組の教室にいるかもしれないので、そこを探そう。
教室の扉をがらりと開けると、机の上に一人の男の子が座って、一眼レフを眺めていた。
「あれ?ももちゃん?」
「黄央 くん」
彼は藤田黄央くん。写真部に入っており、生徒会副会長も務めていた。
茶髪に黒縁のスクエアのメガネを掛けており、少しチャラい感じがする。
「ももちゃん、どうしたの?」
「あの、紫音くんいない?」
「紫音?いや、見てないけど…何か用事?」
「うん…今日卒業だし、挨拶しようと思って」
本当は違うけど。
そこは笑顔で誤魔化した。
「ふぅん…俺には挨拶してくれないんだ」
黄央くんはぷくっと頬を膨らます。
普段から黄央くんは表情豊かだ。そういうところは可愛いと思う。
「そんなことないよ!黄央くん、卒業おめでとう!」
僕は慌てて、黄央くんにお祝いの言葉を送った。
「なーんか付け足した感じするけど、まぁいいや。…ねぇ、それよりももちゃん」
黄央くんは、急に僕の腕を引っ張り、抱き締めた。そして、耳元で囁いた。
「写真撮ろうよ」
僕はその言葉を聞き、背筋がぞくりとした。
そして、この三年間を思い出した。
「ももちゃん、今、これまでのこと思い出してるでしょ?俺も思い出してた。ももちゃんのあられのない姿…いつ見てもいいよね。ほら、これ見て」
黄央くんは、鞄から一冊のピンク色のアルバムを取り出した。表紙には「4月22日~6月30日まで ももちゃん」と書かれている。
「ちゃーんとももちゃんとの思い出は、このアルバムにしまってあるんだ。ももちゃんに見せたことなかったよね?今日でこんなことできるのも最後だし、見せてあげるね」
黄央くんは、宝物でも触るようにゆっくりページをめくった。
僕は顔が、身体中が熱くなった。
僕のあられのない姿がそこに写っていたからだ。
あるときはスーツでエッチした時の、またあるときは黄央くんに無理やり着せられたブルマ姿で…本当に色んな写真があった。
「ももちゃん、本当にかわいい…」
僕が食い入るようにアルバムを見ていると、黄央くんはちゅっと頬にキスをしてきた。
「ねぇ、最後に写真撮らせてよ」
「だ、ダメだよ…紫音くんに怒られるし…それに僕、先生だし…」
「えー?そんなこといって、三年間も撮らせてくれたのに。それにここは期待してるみたい」
黄央くんは、僕の勃ちあがった陰茎をぎゅっとズボンの上から掴んだ。
「っひゃぅ!!」
「かーわいい」
黄央くんは僕を机の上に押し倒した。
ともだちにシェアしよう!