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最終話 月光ノ後晴レル空
「ッッ……! ハぁ……」
月岡のくすぐるような柔らかな愛撫に、日野は必死に声を抑えて耐えていた。月岡の指が身体を弄り、口に小さな乳首を含み、舌先が突起の先端を舐めていく。
「……もっと素直に声出して……」
「だ、ダメです……やっぱり、男同士でこんな……ひぅっ……!」
不意に襲った下半身への刺激に、日野は小さな悲鳴を上げた。
上半身を愛撫していた月岡の指が、痛々しいほどに腫れ上がった日野のペニスを握ったのだ。
「はは……。すっげー熱い……。ココをこんなにして、なにがダメなんだ?」
「それは、蒼士さんが……ァアあ!?」
月岡の指が、宝物を大事に扱う少女のように、日野のペニスを上下へとシゴき始めた。
優しく、丁寧に、そして、気持ちいい場所を刺激するように。
「ふぅッ……っはぁ、あ、あ……ヤバ……それ……」
「1ヶ月オナ禁して溜まってたんだろ? いいぜ……このまま、俺の手に出せよ」
月岡の指が、一気に加速していく。
男のツボを心得ている男ならではの繊細で的確な動きに、日野の限界はすぐに訪れた。
「ッ! ぁ、ア、ダメ、あ、ぁ、ァアアァアッ……ック……!!」
身体をビクンビクンとのけ反らせ、日野が果てた。
月岡の手に、濃い大量の白濁液を吐き出し、全身を振るわせた。
「うわ……。本当に溜めてたんだな……。すっげー濃くて……こんなにいっぱい」
月岡が、白く穢れた手を見て、恍惚とした表情で、白濁液をぺろりと舐め口へと運んだ。
「煌太の精液、臭くてうまいよ」
「それって褒めてるんですか!? それに……なんでこんなこと……」
「お前が誘ったんだろ?」
「お、俺は、ちょっとした冗談のつもりで……」
「……もう遅いよ。俺も……もう収まらないから……」
パンツを脱いだ月岡の股間から、日野よりも一回りは大きくて太い、凶暴なペニスが生えていた。
月岡は手に残る日野の精液を、潤滑油代わりに自分の凶棒へと塗っていく。
そしてそのまま、日野の尻穴へとピタリとあてがった。
「やめて、それだけは……」
そう言うが、日野の身体は拒んでいなかった。
押し返そうとする腕は力無く、足は自然と開いていた。
「今まで挿れられたことは……無いよな?」
「……はい」
「じゃあ、俺が初めての男……だな……」
「ま、待って!? やっぱり……」
「俺だけに見せる顔、見せてよ」
日野の肉壁をこじ開けて、月岡の凶棒がずぶずぶと埋まっていく。
「ッガァア、ア、あ……」
いくら精液を潤滑油にしても、初めての異物を受け入れる日野は、言葉にならない悲鳴を上げた。まして、相手は月岡の凶棒だ。とても耐えられるものではないだろう。
しかし、それは月岡も分かっている。
ゆっくりと浅いグラインドを繰り返し、少しずつ馴染ませていく。
すると、
「ぐっ……がぁっ……くぅ……はァッ……」
苦痛の悲鳴に混じり、少しずつ、艶やかな声が響き始めた。
月光の中で薄明かりに照らされ、二匹の獣の咆哮が、誰もいない夜の街に響いていった。
誰もいない。誰も知らない。見守るのは、優しい月光の灯りだけ。
◆◆◆◆◆◆◆◆
窓から射し込む朝日を見ながら、月岡はタバコに火を点けた。
横を見ると、ソファの上で日野が幸せそうな顔で眠っている。
「……やっちまった」
月岡は沈んだ表情で頭を抱えた。
しかし、すぐに思考を切り替え、タバコの煙を堪能する。
元々、深く考えない性格の月岡である。それに、日野と深い関係になることは、昔から月岡自身が望んでいたことでもあるのだ。
「この野郎……。幸せそうに眠りやがって」
なんて悪態をつきながら、そっと日野にキスをした。
「……今日はいい天気になりそうだな」
窓から射し込む朝日のカケラが、月光の店内を、明るく照らしている。
昨夜の情事の確かな記憶を、日野の寝顔を、眩しく写していた。
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