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最終話 狂乱の先にある未来
自分に降りかかる最大級の災厄が頭に浮かび、俺はとっさに口を開いた。
「やめて、それだけは……」
しかし、そんな訴えはゴランの耳には届かなかった。
俺に覆い被さり、乱暴に服を引き千切っていく。まさに野獣そのものの姿に、身体の奥が凍りつく。
「カシオ! 頼む! ゴランを止めてくれ!」
「はぁ? 俺が止めろって言っても小便ぶっかけたのはどこの誰だよ?」
カシオにゴランを止めるつもりはまったく無い。分かっていたはずなのに、恐怖で身体が震えだす。
服はあっという間に破かれ、生まれたままの姿にされた俺は、うつ伏せにされ、そのまま腰を持ち上げられた。
闇夜でなければ、サオもタマも穴も丸見えの情けないポーズだ。
そして、恐怖に震えるポーズでもある……。
「ゴランはな、なんつーか……精力の塊みたいなヤツでな。オスもメスも関係ねーんだ。穴があればいいってやつ? 調教にはピッタリだろ?」
「……ふざけ……ッッ……!? ガ、ァ、ア、止メ、ァ、ァア……!?」
肛門から下腹部へ、異物が俺の中に侵入してきた。
肉壁を貫き、腸をえぐり、奥深くまで達すると、そのまま前後に動き出す。
「アァ……カシオ……コイツ……気持ちいい……」
「ぅグァ……ギァあ……ッ!? 待っ、テ……」
容赦なく打ち付けられるゴランの腰が、凶悪な肉棒が、俺の身体をえぐって嬲って壊していく。こんな身体では、抵抗もできず、なすがままにされるしかなかった。
「緩香樹の雫を飲んでて良かったな。あれがなかったら痛みで狂ってたぞ」
「こ、んな……ぐッ……狂った、ほうが……がァッ……マシ、だ……。絶対、許さんぞ」
「……言っとくけどな。俺たちは本当にただ静かに暮らしてただけなんだ。ケンカ売ってきたのはお前たち人間だぜ? お前らがそういうつもりなら、俺たちも自分の住処を守るために、あらゆる手段を用いるだけだ。お前を奴隷にし、降りかかる災厄から身を守る番犬になってもらう、ってことだ。俺たちを怨むのはお門違いだからな」
それに、とカシオは続けた。
「俺は受けた傷はちゃんと返す主義なんだ。ほら、こっち見ろよ」
見ると、カシオのズボンが下げられ、勃起ペニスが俺の眼前に突きつけられていた。
「なに、を……。ッッ!?」
勢いよく放出された小便が、俺の顔に降りかかる。
髪を、顔を、口内を、薄汚い小便が侵していく。
「あ~……よく出た。この時のために昼間からガマンしてたんだぜ。さて、と……」
不意に、小便にまみれた口に、カシオのペニスを突き立てられた。
「んぶぅッ!?」
「くは……気持ちいい……」
そのままカシオは激しく腰を振り始めた。
「ヤバ……コレいい……。俺は、ゴランと違って、オスには興味ないんだけど、コッチ は、オスもメスも、関係ない、もんな」
「ゥグァア……!」
ゴランの叫びと共に、腹の奥に、熱くて気持ち悪いものが注がれた。
これ……まさか……。
「ははは。ゴラン、もうイったのか? 相変わらず早漏だな。あ、でも大丈夫だジャック、安心しろよ。コイツ絶倫だから、お前が奴隷になるまで、何十回でもできるからな」
その言葉を裏付けるように、今さっき精を放出したばかりのゴランの凶棒は、すぐに硬さを取り戻し、俺を蹂躙し始めた。
狼に口を穢され、熊に体内を侵され、いつ終わるともしれない狂乱の中で、絶望しかない未来を前にし、俺は、意識を手放した。
これが全部夢だったらいい。そう願って。
END
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