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朝
「おはよー」
「はよー」
クラスメイトに言われた挨拶に流すように挨拶を返す。
教室に入るとアイツの机はゴミ箱になっていた。
ゴミは全然入りきれてないけど。
アイツはそれを見てボーッと突っ立っている。
「何あれー…きったな」
「いいじゃん、放っておこうよ」
「うわっ…」
「あんまり見んなよ」
周りのヤツらは何もしない。
見て、二言三言話してから、また見る。
それだけ。
「おいおい、突っ立ってないで早く片付けろよ」
俺のそばにいるヤツらが笑いながら言った。
すると、アイツはこちらを見た。
無気力な、それでも確実に怒りを宿した目で。
俺はそれを見ていつも嗤うんだ。
あーあ。
本当に、
「何見てんだよホモ」
可哀想な奏斗(かなと)。
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