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奏斗
奏斗と初めて会ったのは、小学3年の時だった。
奏斗が俺のクラスに転校してきたのだ。
「柊 奏斗(ひいらぎ かなと)です。よろしくお願いします」
礼をして上げた顔を見た時、綺麗だなと思った。
綺麗な顔に、綺麗な黒髪。
周りのみんなとは違う、まるで見たことない存在のような気がして目が離せなかったのを覚えている。
「じゃあ、柊君の席はあそこ。あの窓際の空いてる席ね」
「はい」
担任が指した席は俺の前の席だった。
奏斗が座ると開いてる窓から風が吹いて、綺麗な黒髪を揺らしていた。
その後の俺は奏斗の髪ばかり気になって授業を全く聞いていなかった。
授業が終わると俺はすぐに奏斗に話しかけた。
「俺、倉橋 直(くらはし なお)!よろしくな!」
「あ…俺は柊 奏斗。…よろしく」
緊張していたんだろう。
少しぎこちなかったけどすぐにそれは消え、奏斗は笑顔でそう言った。
奏斗は笑った顔もまた、綺麗だった。
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