5 / 111

奏斗 2

奏斗はあまり騒ぐようなタイプではなかったが、何故か俺と気が合い、すぐに仲良くなった。 家も割と近く、お互い遊びに行くようにもなった。 奏斗は転校早々人気者になった。 成績は優秀だし、真面目だけど真面目すぎず、適度に砕けた雰囲気で。 奏斗の周りはいつも人でいっぱいだった。 「すげーな、俺あそこまで人気者のヤツ初めて見た。前の学校でもそうだったのか?」 「ううん、前の学校は幼稚園から一緒の子がほとんどだったから、あんなに囲まれたのは初めて」 「ふーん…カナだから前の学校でもそうだったのかなって思ってた」 「こっちに来てからは初めてのことが多いよ。人に囲まれたり、『カナ』って呼ばれたこともない」 俺は奏斗のことを『カナ』と呼んでいた。 奏斗の『奏』という字が印象に残っていて、何故かそう呼びたかった。 理由を聞かれ、「『奏』って字が綺麗で印象に残ったから」と答えると、少し照れたように顔を染め、それから小さい声で「いいよ」と言った。 「前の学校でも『カナ』って呼ぶヤツいなかったの?」 「いないよ。ナオが初めて」 「……そっか」 俺だけが『カナ』と呼んでいる。 そのことが、どこか特別なような感じがしていた。

ともだちにシェアしよう!