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告白 2
「気持ち悪くて…っ、ごめんなさい……」
カナが言っていることを理解した。
今まで自分がしてきたことが、どれだけカナの心を抉ってきたのか。
ずっと俺が言ってきた「気持ち悪い」という言葉。
「異常でごめんなさい…ッ、ごめんなさい」
「待って、違う…」
「男を好きで、ごめんなさい、ごめんなさい……、ごめんなさい」
「…ッ、違う!」
ずっと謝罪の言葉を並べ続ける姿を見ていられなくて、思わず強く言ってしまった。
ビクッと肩を震わせ、しんと静まりかえる。
しまった、怯えさせてしまった……。
「違うんだ……お前は何も悪くない、俺が全部悪いんだ。だから…そんな風に思わないで。お前は、気持ち悪くなんかない」
怯えさせないように、ゆっくりと言う。
けど、カナは下を向いたまま首を横に振った。
もしかしたら、もう俺の言うことなんて何も響かないのかもしれない。
自分で思っていたよりも、カナの心は閉ざしていた。
「……そうじゃ、ない」
ぽつりとカナは言った。
「ナオの言う通りなんだ……。ナオは間違ってないよ」
「なんで…」
「俺が、ナオを好きだったから」
「………は、」
何……なんて?
カナは今、何て言った?
「……無理なんて、そんなことちゃんと分かってたんだ。だから、その先は望まなかった。友達だって言ってくれて、それだけで嬉しくて……、一緒にいられるなら、それでよかった…っ」
俺は……。
「俺はっ…、ナオの言う通り、男が、恋愛対象で……自分がおかしいのも分かってた…。男のお前を好きになって…お前に嫌われないようにって、……ずっと、怖くて、隠して…でも駄目だった…。最初から無理だったんだ……好きになった時点で、お前に嫌われるのは決まってた」
俺は……カナが男を好きだと知って驚いたことはない。
あれは誰かが流したくだらない噂で、俺はそれに「本当だ」と言った。
それは知っていたわけではなく、ただカナと一緒にいると自分じゃなくなることが怖くて、カナから離れたかったからだ。
俺は「男を好きな自分」を否定する為に、その噂を利用したんだ。
それに、「本当だ」と言えばカナは独りになる。
誰のものにもならない。
だから本当だろうと嘘だろうと、俺にとってはどうでもいいことだった。
カナから離れれば、カナが独りになればそれでいいと思っていた。
北見さんとの関係を知った時も、カナが他の人のものになったことしか頭になくて、噂のことなんて忘れていた。
「隠してきたつもりでも、ナオに、知られて……。……気持ち悪いなんて言われて当然だ…」
でも、カナの言っていることが本当だったら……?
カナが、ずっとずっと必死に隠してきたこと。
それがたまたま噂としてバレて、嫌われないようにと思っていた俺に、あんな—。
「………『友達じゃない』って言われて、裏切られた気がした。全部、ナオが俺に向けていた言葉も笑顔も嘘だったんだって思って……裏切ったのは俺の方だったのに」
俺は……なんてことをしていたんだ。
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