96 / 111

告白

カナが目を覚ました。 「…カナ……?」 透き通るような黒い瞳が、俺を映す。 よかった。 目を覚ました。 ちゃんと生きてる……。 「あ…、大丈夫か?……奏斗」 もう呼ばないつもりだった名前を、思わず口にしてしまったことに気づき言い直すと、カナは顔を青くしていた。 ………やっぱりそうだよな。 俺はここにいるべきじゃないよな。 俺なんかが、お前の傍にいるべきじゃない。 「…今出るから、安心して。北見さん、呼んでくるから…」 大丈夫、もう何もしないから。 分かってる。 「今まで、本当にごめん。……もう、関わらないようにするから」 顔は見れなかった。 自分が今、どんな顔をしているのか見られたくなかった。 きっと情けない顔をしているから。 部屋から出れば、本当に他人になる…。 カナにとってただのクラスメイトで、一生許されない存在になるんだ。 カナが望むなら、誰とも関わらずに生きていく。 行き場の無いこの感情の先を願ったりしない。 もう、これで終わりにしないといけないからー。 —ドサッ 後ろの方で音がして、振り返るとカナがベッドから落ちていた。 「どうした?!苦しいのか?」 駆け寄って身体を起こそうとするとカナはぐっ、と俺のシャツを掴んだ。 どうしたんだ…? 「行かないで……」 絞り出すような、掠れた声。 何を言われたのか分からなかった。 「…え?」 「……行かないでっ…!」 さっきよりも真っ直ぐで、刺さるような言葉。 もしかして、北見さんと間違えてる……? いや…そんなことは……。 「………奏斗?」 俺がそう言うと、カナは泣きながら謝り始めた。 「…ごめ、なさっ…、ごめんなさいっ…」 どうしてカナが謝るのか全く分からない。 カナが謝る理由なんてない。 悪いのは俺なのに。 そして、カナが言ったことに俺はとてつもない後悔に襲われた。

ともだちにシェアしよう!