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第6話
最新の注意を払い、丁寧に丁寧に嘘を重ね、隠し続けた事実が、呆気なく晒されてしまった。一番知られたくなく、そして、一番知って欲しい人物に。
「…好きなんだよぉ…お前のことぉ…」
神尾はその場に蹲った。その姿を、山下はただ静かに見つめた。見つめ続けた。神尾の嗚咽が消えても、静寂な部屋で、その姿を焼き付けるかのように見つめた。暫して、山下はゆっくりと口を開いた。
「……、もっと早くに知りたかったよ」
部屋の中の時が動き出す。
「―――……良が、死ぬ前に…」
山下の瞳から、涙が一筋零れた。
グシャリと手のひらサイズのノートが、山下の手で潰される。それは、神尾の日記だった。
「…良」
再び、嗚咽が部屋を充満する。
窓には泣き崩れる山下の姿が一人、2つのワイングラスと共に映っていた。
END
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