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烏城
「本当に真っ黒だな。」
「じゃろ。昔っから好きなんじゃわ、あれ」
見上げた青空に映える黒。
その色から、ずる賢くて警戒心の強い鳥と同じ名前の城。
「烏ってさ、一夫一妻で互いに縄張り作って協力して、巣作りと子育てするんじゃって。」
思わぬ言葉に視線を向ければ、カッコええよなと笑っていて。
「なら、俺達もそうなろうな。」
そう言うとキョトンとした顔を見せた後吹き出した。
「さすがにガキは産めねぇよ、俺。」
ケラケラと笑う声が城へと続く広場に響いた。
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