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番外編:休日の朝
ん…重い…
胸元の温もりと重みで目が覚めた。
カーテン越しの淡い光に目を凝らすと、こんもりとした頭と、俺に絡まる布団からはみ出した肩が見えた。
そこに触れると、ひんやりと冷たくなっていた。
そっと布団を被せて頭を撫でてやる。
温まった俺の身体に触れた腕の冷たさに、ぶるりと震えがきたが、暫くすると俺の体温に馴染んでいった。
昨夜 しつこいくらいに愛された身体が怠い。
全く…誰のせいだよ。
でも、散々啼かされて、お互いの体液でドロッドロになった身体は、綺麗に清められている。シーツも綺麗…な感じだ。
俺の記憶が飛んでる間に、いつものようにしてくれたのだろう。
どうしても休みの前の日は、箍 が外れたようにお互いを求め合ってしまう。
次の日早く起きなくちゃ、とか弁当のおかずのことや仕事のことを気にしなくていい分、理性が飛んでしまうのだ。
ぐっすり眠っている希の身体をそっとずらして、シャワーを浴びに行く。
鏡に映る身体を見てため息をついた。
…全身に散らされた赤い花…濃淡のそれらは舞い散る花のようで…
恥ずかしくて頭からお湯を被り、ボディソープを指に纏わせると後孔を洗っていく。柔らかなその場所は、難なく指を飲み込み、激しかった昨夜の情交を思い出させた。
昂りそうになるのを堪えながら、何とか全身を洗い終え拭き上げる。
そしてまた、希の隣にそっと滑り込むと目を閉じた。
希…俺の大切な伴侶… 俺の…家族だ。
拗らせた愛情は、今では本物になった。
籍を入れ、結婚式も済ませた。
――一生離れない、離さないと誓った。
粘着質な愛情に辟易することはあるが、それを嫌だと思わない自分に驚いている。
愛してしまったんだ、もう観念しよう。
「…ん…とぉまぁ…おはよ…」
「おはよう、希。」
俺にのし掛かる希からのキスの嵐を受け止めながら、こんな幸せな朝がずっと続きますように、と心から祈る俺に、希は真顔で言い放った。
「なぁ、えっちしよう。」
突然仕掛けられる甘い愛撫に、更々逆らう気などない俺は、答えの代わりに希の唇に吸い付いてやった。
「望むところだ。」
少しずつ明るくなっていく寝室で、雄の顔をした希の顔があらわになる。
あぁー…これでもう今日はベッドから起き上がれないな…
覚悟を決めて希の首に両手を回し、もう一度引き寄せたのだった。
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