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第3話

   「あれ、先輩?誰を今目で追ってました?……ふーん。へえー、あの人か……そうか」  いきなり背後から声をかけられる、なぜお前は気配もなく後ろに立つんだ。  「あ゛ぁ?何のことだ」  「無意識ですか?うっわ、参ったな……」  「だ・か・ら、何ほざいてんだ?」  「あの人、前キャプテンですよね、ポイントガードでしたっけ?俺とポジション同じだ、いろいろと被っててなんだか嫌だな。身長も同じくらい、確か血液型も同じですよ。あー、同じ学年ならポジション争いで違いが見せられたのに」    何を言いたいのかよくわからない後輩のおかげで、自分が無意識に荻野の背中を目で追っていたことに気が付いた  「お前には関係ねえ」  「関係大ありです、不快です……運命ですから」    「はぁ?お前が何に運命を感じているのか知らないが、俺は仲良くするつもりも、久々の出会いとやらを喜ぶ予定もない」  「あんまし時間ないから、焦ってるんですけどね」  もうこれ以上のやり取りも面倒だと、その場から離れようとした時に腕をがっと掴まれた。  「先輩、覚えていてください。諦めるつもりなんて、さらさらありません」  体格差ではかなり自分より劣っているはずのガキの力が予想以上に強かったことに驚いた。改めてまじまじと顔を見るが決してふざけているようには見えない    『……馬鹿かこいつ、俺は全くそんな気は無いのに頑張ってどうするってんだ』そう思った時に、その言葉がブーメランのように返ってきた。『そうか……俺も同じだ、頑張ったってどうしようもないものが世の中にはあるんだ』ふと可笑しくなって、煩い後輩が少しだけ可愛く思えてしまった。    「ん?先輩?どうかしました?」  「馬鹿さ加減ではお前も俺もいいとこ勝負だな」  何を言われたのか分からず頭を傾げる後輩を廊下に残して、少し気分が軽くなり教室へと戻った。

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