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僕の王子様

2回目の発情期が始まった。 心配した母に初日だけでもと無理矢理欠席にさせられたが、やはり今回も良い感じに薬が効いているらしく体調は悪くない。 なので2日目には登校したのだが、どうやら無自覚だけれど沢山フェロモンが放出されていたらしい。 あっという間に沢山の人達に囲まれ、先日の事を思い出した。 怖い。怖いよ、征道。 「チカっ!!」 呼ばれ手を引かれ移動させられる。 着いたのは保健室。 「これからは休んでね?発情期の間」 心配した。 そう言いながら僕を抱き締める腕は微かに震えていた。 この前も今回もピンチの時必ず助けを求める人は征道。 いつも僕の事を助けてくれる僕だけのヒーロー。 軽い対人恐怖症に陥ってから、僕は他人に触られたり見られるのが苦手になった。 怖いし気持ち悪いし吐き気がする。 だけどソレを見せると嫌な思いをさせそうだから、必死に周囲に見せない様に我慢して平気そうな顔をしている。 だけど、征道は違う。 触れられても見られても嫌じゃない。 気持ち悪くないし、安心する。 寧ろもっと見て貰いたいし、常に隣に居て欲しい。 一緒に居て心地良いし、幸せを感じる。 嗚呼、そうか。 そうなんだ。 姫様が言った通りだった。 征道が僕の運命の人なんだ。 今迄もこれからもずっと側に居て欲しい人。 優しくて頼りになって、誰よりも大切な人。 ふふふ。嬉しそうに笑うと 「ん、どうした?」 征道は不思議そうな声を出した。 「ねぇ征道。征道は僕の事好き?」 「えっ!?ええっと、その.....」 突然の質問に真っ赤になる征道。 本当は聞かなくても知っている。征道の気持ち。 以前うたた寝してしまった時に好きだって言われたから。 征道は僕が完全に寝てるって気を抜いていたみたいだけれど、その時目は覚めていたんだ。 あの時不思議と心が温かくなって幸せに満たされた。 「聞きたいんだ。教えて?ね、お願い」 可愛らしく耳元で囁きながら催促する。 「.......っ」 あ~あぁ、真っ赤になっちゃって可愛いかも。 にやけそうになった顔を隠す様に 「僕は好きだよ、征道の事」 「え!?ぇっ、ぇええ!?!?」 狼狽える征道にギュッ、自分から抱き着いた。 ねぇ、征道。 これからは僕も姫様みたいに強くなるからずっと側で見守っていてね? そしていつか守って貰うだけじゃなく、守ってあげれる位心も身体も大きくなるから、ゆっくり待ってて? 大好きだよ。僕の王子様。 チュッ、頬に唇を重ねたら 「……俺も……...好...きだ」 ぽつり征道は僕が喜ぶ台詞を口にした。

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