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朝陽 16

他人のつけた痕を目にして血が沸いた。 気付けば逃げようとする肩を押さえて歯を立てていた。 恵果さんの声が遠く聞こえる。 首筋の、鎖骨に向かう線が目の前で震えているのを見ながら口を離し、赤い歯形の付いた箇所を確認するように口付けた。 恵果さんが息を飲む。

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