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朝陽 17

「初めてお会いした時から僕はあなたを…」 火鉢の熾火が爆ぜる微かな音に、ここが恵果さんの部屋である事を思い出した。 美しい人。乞うことすらできなかった人に付けた印から目を反らせない。気持ちに押し流されて何て事をしてしまったのか。 あなたの部屋で、行き場のない僕の鼓動まで聞かれそうだ。

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