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朝陽 18

「お気をつけて…」 「はい」 視線は絡むが交わした言葉はそれだけ。 結局恵果さんは引き止めてくれなかった。 玄関から出て空を見上げる。 「雪か…」白い息を吐きながら小走りで帰る途中、寺に向かう人とすれ違った。 傘でよく分からなかったけど、あの後ろ姿は恵果さんの部屋に何度も来ていた男だ。

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