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恵果 19

私は求められて嬉しいと、そう感じてしまっている。 逡巡する思いを偽だと思い込むのに必死で、扉が開くのに気付かなかった。背後から抱き締められて安い香水の匂いで元彼と解った。 「恵果」そう言うと早急に胸元へと手を滑らせて着物をずらされ私は慌てて彼から離れてしまった。 肩の傷がジクリと痛む。

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