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朝陽 37

恵果さんの顔の両脇に手を突いて見下ろすと、熱をもって潤んだ視線が返ってくる。 さっきまで別の男に嬲られていたこの部屋で『求めろ』とこの人は言う。 これまでの誰よりもあなたを満足させる事が出来たなら、僕のものになってくれますか? 口に出せない問いを心の中でつぶやいた。 「…はい。恵果さん、あなたは僕を欲しいと思ってくれるんですか?」 驚きに揺れる瞳。 答えは待たずに、さっき僕の欲望を満たしてくれた唇を今度はこちらから貪るように塞いでゆく。

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