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朝陽 56

涙が見えていたのに、欲に流された体は止まらなかった。 ごめんなさい、と心の中で繰り返しながらも快楽を貪り、頭のどこかで恵果さんもこれを求めているんだと、自分に言い訳していた。 恵果さんの言葉はそんな僕の一番嫌な部分を突いてきた 「気が済んだとか、そんな事言わないで下さい。僕は、ずっとあなたが好きで…」 そう言いながら伸ばした手も払われ、黙って冷たい視線を投げかけられた。

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