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朝陽 61

進学の報告に行った寺で、無駄だと分かっていても僕は恵果さんの姿を求めていた。 -もう、会う事もないのだろうか。 そう思いながら父の車で寺を出る時、数か月ぶりにあの人の姿を見た。 視線が絡み合い、微かに頷いた気がした。でもそれだけだった。 その春、僕は遠い街で一人暮らしを始めた。

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