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35 陸side
一ヶ月が経った。
結局俺は…ここを辞められないでいる。
先輩は大人だ。
プライベートな話は一切話さないが仕事では普通に接してくれる。
だから俺もこうして仕事を続けられているわけで…
大嫌いだなんて叫んでおきながら、こんなことを聞けるわけもなくモヤモヤと心の中で渦巻く。
彼女とはうまくいってますか?
最近彼女は店に来ない。
って言ってもこの前来てからまだ一ヶ月だし髪もそんなに伸びてないか…
俺は何を期待しているんだろう?
そんなある日母親から電話があった。
「あんたも27でしょ?そろそろ身を固めたらどう?いい縁談があるんだけど。」
「縁談?そんなのいらない。」
「あのね、すごくいいお嬢さんなの。お父さんの上司の娘さん。」
「だからいいって。」
「いい人でもいるの?」
「いないけど…」
「だったら一度会ってみて。日曜日の夜、仕事終わりでいいわ。少しだけ、ね?」
そう言って電話が切れた。
いい人…そんな人いない。
俺の好きな人には彼女がいて…
その前にその人の手を取らなかったのは俺だ。
「忘れられない…」
そう言われたのに突っぱねたのは俺の方だ。
自業自得。
そんなことわかってる。
今が引き際なのかもしれないな…
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