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第2話

「えっと…まぁ、当然先生のことなんだけどさ…。最近…いや、最近じゃないと思うけど、俺が最近気づいたってだけなんだけどさー。」 「お前、相変わらず面倒だな…。」  …ばっさりと切る天ちゃんも好きだよ。ちょっと落ち込みながら、チマチマとココアを飲むと、気持ちを落ち着ける。 「…先生ってさー。時々、遠く…かな?見てるんだー。それも絶対、俺が傍に居る時だけ、だと思う。…なんでだと思う?」  俺のその言葉にハァと溜息をつく天ちゃん。不味いこと言ったかな?なんて思いながら、天ちゃんをチラリと盗み見る。天ちゃんは珈琲をゴクゴクと飲み干したようだった。…熱くなかったかな?と少し心配もしつつ、返事を待つ。 「…お前にはどう見えるんだ?」 「どう?どうって…寂しそうというか、不安そうというか、そんな感じかなー?」  遠くを見つめる先生の横顔を思い出しながら、それでもカッコイイんだからズルイよなーと別のことを考える。 「まぁ、お前がそう見えるなら、そうだろうな。」 「だーかーらー、それがなんでか知りたいんだよー。」 「…それを俺に聞いてどうするんだ。ストレートに聞くのがお前の取り柄だろ?告白した時みたく突っ込んでいけばいいだろ?…まぁ、その後、突っ込まれたのはお前だけどな。」  …最後の言葉いる?いらなくない?天ちゃんの言葉にムスッとしながら、ココアをゴクゴクと飲み干した。そのまま、「ごちそーさま。」とカップをデスクへ置いて立ち上がる。 「まぁ、無理に聞かなくてもいいと思うぞ?…それにお前だから、だろうしな。」 「え?天ちゃん、ワンモア!!最後が聞こえなかった!」  慌てて聞きなおすが、「何もねェよ、さっさと帰る準備をして、蓮の迎えに行ってやれ。」とシッシッと犬でも追い払う様に自分のカップと俺のカップを持って保健室から出て行った。  …相談終了?全く、意味なかったし、と考えながら、スマホを弄る。連絡先はもちろん先ほどの先生宛だ。 『海斗、終わったか?』  スマホから聞こえてくるのは俺の好きな低くて優しい声だ。 「うん!終わったよー。今から迎えに行くねー、先…じゃなくて、蓮さん。」 『嗚呼、待っとく。…っていい加減、呼び慣れろよ。』  小さく笑いながら言う蓮さん。明らかにその声は馬鹿にしている感じなのに、この声が好きだなんて、俺ってば案外Mっ気があるのかな?と内心苦笑を零しては「ごめんねー。今から行きまーす。」と軽く返し、電話を切る。  財布とケータイ、それから筆箱ぐらいしか入っていないスクールバックを肩にかけると、誰も居ない保健室を後にした。

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