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第3話

 まぁ、蓮さんのあの表情が気にならない訳じゃない。・・・1回、聞いてみようかな、と天ちゃんの唯一のアドバイスを素直に受け入れては蓮さんの待つ、学校近くにあるコンビニへと向かう。  すると、目的の車を見つけ、運転席を覗き込むと、蓮さんが俺に気付き、クイッと顎で助手席をさした。座れってことだな、と思い、助手席へと乗り込んだ。 「あー・・・、寒かったー。・・・もしかして、すげー待たせちゃった?」  車に備え付けてある灰皿に溜まった煙草の本数を見ては、吸い過ぎ・・・、と内心心配しつつ、聞いてみた。 「・・・いや、たまたま捨ててなかっただけだ。」  蓮さんはそう言って灰皿を取り、コンビニにある吸殻のごみ箱へ捨てに行こうとしているようだった。が、それを俺が取り、「いいよー、捨ててくるー。」と鞄を置いて捨てに行った。 「相変わらず、軽すぎるだろ、鞄。」  蓮さんは戻ってきた俺に呆れた様子でそう言ってはまたしても煙草を取り出した。 「蓮さん、吸い過ぎー。あとはご飯食べてからねー。」  口に咥えた煙草と手にある箱を取り上げ、出した煙草を箱へと戻してはそのまま俺の鞄へと仕舞う。それを見て蓮さんは「おい。」と少し不機嫌そうに言っているけど、それを無視すると、渋々といった感じで車を出した。  俺は高校に入って実家を出て、1人暮らしを始めた。実家からこの高校は片道で2時間半かかるからだ。・・・往復で5時間、今のところに慣れた為、今では考えられない・・・。その1人暮らしのおかげで時間を気にすることなく蓮さんの家に行くことが出来るのだ。  ・・・そして、蓮さんも1人暮らしだ。俺とは事情が違い、正真正銘の独りだからだ。軽くしか聞けたことはないけれど、6歳の時に両親から捨てられ、施設で育ったということは聞いていた。  あ、それから、天ちゃんと天ちゃんの奥さんも一緒に育ってきたから、兄弟みたいなもんだ、とも言っていた。  そんな嫌な思い出話をさせてしまったのは、一時期天ちゃんと仲が良すぎると嫉妬してしまったせいだった。その後、少し・・・というか、ものすごく後悔をした。それ以降はあまり過去について蓮さんさせない様にする、というのを俺の中で決めていた。  別に楽しそうに、懐かしそうに笑顔で話してくれるような昔話だったら、俺も知れると思ってワクワクで聞くけれど、その時の蓮さんの表情は何か抜け落ちてしまったかのような、とにかく元気がなく、見てられない状態だったからだ。  そんなことを思い出しながら、あの蓮さんが見たくなくて、過去の話を聞かないのに、今もあの頃に近い表情を浮かべるのが悔しい、と少し奥歯を噛んだ。

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