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第4話
ふと、運転する蓮さんの横顔に見惚れると、そんな俺に気づいたらしい蓮さんはにやりと嫌な笑みを浮かべては声をかけて来た。
「何だよ?俺の横顔、そんなにカッコイイのか?」
蓮さんは茶化す様に笑いながら言っては近くにあった俺の手をスルリと撫でた。少しドキリとしつつも、それを表にはせずに「悔しいぐらいにカッコイイですよーっだ。」と頬を膨らませながら、窓の外を眺めた。
蓮さんの家に徐々に近づいて行くうちに絶対に最近のあの表情のことを聞こうと心に決めた。
しばらくして、目的地である蓮さんの家に到着した。いつも気になっていたことだけれど、蓮さんの家はどの部屋を見ても、家具が少ない。殺風景というか、あまり生活感がない。
この風景を寂しいと感じてしまうのはその部屋にいる蓮さんが、あの時の表情の蓮さん重なるからだろうと思う。
「蓮さーん!今日は何が食べたい?」
俺はいつもの調子で制服の上を脱ぎ、荷物と一緒にソファへと投げた。蓮さんはそれを見ては呆れた様に「こういうのはちゃんと掛けろって。」と言うんだ。
「お前な、こういうのはちゃんと掛けろって。」
ほらね、と内心笑みを零しながら、こういうやり取りが案外、嫌いじゃないんだよな。、と思いつつ、「はーい。」とだけ返事をする。蓮さんはブツブツと文句を言いながら、自分の上着も掛けるついでに俺の上着を掛けてくれた。
こういうちょっとしたことで幸せになれる俺って、単純ー、と思いながら、冷蔵庫を覗く。
「…今日は麺な気分だな。」
蓮さんはこちらへ来ながら、小さく欠伸を零した。…麺、麺かー…。寒いし、温かいのが良いよなー、と冷蔵庫の中身と相談する。
「…簡単なので良いからな?」
「うーん、寒いから、温かいの食べたいなーって思ってさー。でも、時間かかるなーって、…パスタでも良い?ミートソースの。」
「…なら、俺がナポリタン作ってやろうか?」
「えッ!!先生、料理できんの!!?」
先…蓮さんの発言に驚き過ぎて、だいぶ失礼なことを言ってしまった…。そろりと蓮さんを伺うと、「お前、俺のことなんだと思ってたんだ…。」と呆れていた。
「だ、だって、蓮さん、いっつも面倒、お前が作れ、って言ってんじゃん!だから、てっきり出来ないのかと思ってさー。」
「出来ねぇとは言ってねぇだろ?単に海斗が作るモンが旨いだけでだな…って、お前、調子に乗るなよ?」
蓮さんからの不意の褒め言葉に嬉しさを隠しきれず、ニヤニヤとしてしまう。
「俺って、蓮さんの胃袋がっちりと掴めてるー?」
にやける口元が我慢出来ないまま、蓮さんへ投げかけると、「…まぁ、そうかもな。」とぐしゃぐしゃと荒っぽく頭を撫でられた。…こう撫でてる時は照れてる時なんだよな、と思いながら、嬉しさいっぱいの笑顔で蓮さんを見る。
…まただ、俺を見ているようで見ていない、どこか遠くを見ている。そして、痛々しい笑みを浮かべる蓮さんがいた。
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