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第11話

 先ほどまでは二人きりではなかったせいか、気まずさは感じなかった。車に乗り、二人きりとなった途端、気まずい空気をピリピリと肌に感じた。  蓮さんはそんなこと感じてないらしく、暢気に煙草を吸いながら運転を続けている。  ・・・本当、運転してる横顔はとびっきりカッコいいな、と内心呟きながら、まだ怠い体を背もたれに預けては小さく息を吐く。 「・・・風邪、じゃないんだな?」 「え?あ、うん。・・・天ちゃんが過保護すぎるだけだから。」  僕の言葉を聞いた蓮さんは煙草の火を消すと、「・・・そうか。」と小さく返したが、どうも機嫌が良くないらしい、と思い、「うん。」と会話を切る様に頷いた。  そして、しばらくすると、蓮さんの家へと着いた。 「ほら、着いたぞ。」  蓮さんは俺の荷物を持ち、家の中へと入り、そのまま、一番奥にある寝室へと向かった。 「海斗、お前はこのまま寝ろ、いいな?」  俺は嫌だという代わりに、首を横に振ってみせる。蓮さんはそんな俺を見て、少し困った様に笑ってみせ、荷物をベッドへ置くと、自分の上着を脱ぎ、いつもの様に俺の上着も一緒に掛けてくれた。 「蓮さん、話・・・が、したいんだ。」 「・・・嗚呼。分かった、ゆっくり話そう。」  蓮さんは俺の横を通って、リビングへ戻った。  ・・・やっぱり、一度も目が合わなかった。保健室では目も合ったし、笑みも見せてくれていた。なのに 車に乗った後から、目を合わせてくれない。・・・俺、何かしたのかな? 「蓮さん、あのね・・・。」 「昨日のこと、だろ?・・・ごめんな、海斗。」  蓮さんからの謝罪の言葉に、「なんで・・・?」と何故かショックだと感じ、声も掠れてしまった。 「俺は・・・。」  蓮さんが続けようと口を開いたところで、『ピーンポーン』とあまり鳴ることがないインターホンが訪問者を知らせた。  蓮さんも意外だったらしく、驚いた様子で玄関へと向かう。・・・が、その蓮さんの腕を咄嗟に掴み、言葉を先に聞きたいと思ってしまい、引き留めてしまった。 「海斗・・・?」 「あ、ご、ごめんなさい・・・。」  掴んだ手を離すと、どうしていいか分からず、蓮さんから顔を背け、リビングのソファへ向かう。蓮さんはそんな俺へ声を掛けることなく、インターホンに答えた。 「は?桜・・・と樹里か!?」  インターホンに向かって、驚きの声を上げている蓮さんに視線を向けると、横顔だけど俺には分かる。あれは嬉しい時の顔だと・・・。  ・・・俺にはそんな顔、見せてくれないのに、と苦い気持ちが胸の中で広がった。

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