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第16話

 蓮さんの家を飛び出して、自分の家まで走っていると、雨がぽつりぽつりと降り出した。 ・・・最悪だ、と内心呟くも、足を止めることなく、そのまま家を目指した。 自分のアパートに着く頃には、夕方近くになっていた。 時期的に冬だが、汗だくになり、それだけでなく雨にも降られたせいでパンツまでびしょ濡れになっていた。  汗を拭いながら、音のない自分の部屋に寂しさを感じ、テレビをつける。・・・着替えないと、と思いつつもなかなかその気にならない。小さく溜息を零しながら、浴室へ向かう。 身体に張り付く服をすべて脱ぎ、直接洗濯機へ投げ入れる。  浴槽の無い風呂場で熱いシャワーを浴びつつ、そういえば上着も鞄も蓮さんの家に置いて来ちゃったなぁ、と心で呟く。あとで蓮さんに連絡しておこう、と思い、烏の行水といった感じで早く上がった。  スマホを取り出すと、電話・・・とも思ったが、天ちゃん達もいるだろうし、メールの方がいいか、と画面を見るも着信はなし。その事に少なからずショックを受けつつ、それより、と昼間の事を考える。  俺、飛び出す必要あったかな?と自分の行動に疑問を感じつつ、桜さんの嬉しそうな笑みを思い出した。・・・反対だとか、別れてだとか、言われてしまうのではないか、と感じた。  きっと桜さんは言わないけど、樹里さんはあの時の様に刺々しい言葉を投げかけてくるだろう。 ・・・蓮さんの友人、親友の一人に反対という言葉だったり、嫌悪感を直接ぶつけられてしまったら、本当に蓮さんから逃げてしまいそうで、怖かったんだ…。  そんな考えで頭をいっぱいにしていると、『ヴーヴー』と携帯がメールの受信を知らせた。 ・・・待っていた蓮さんからのメールだった。 『追いかけられなくて悪かった。帰り着いたら、電話してくれ。』  届いたメールを読みながら、電話、か…、と素直に電話しようと蓮さんの番号を出すが、呼び出しのボタンを押す前で指が止まった。 もし、今電話で話したら、言わなくていいことまで投げてしまいそうで、「はぁー…。」と長い溜め息を吐くと、返信画面を出し、メールで返事を返すことにした。 『帰り着きました。今日は急に出て行ってごめんなさい。言い訳はまた明日するから。 それと蓮さんの家に上着と鞄忘れたから、朝取りに寄るね。お休みなさい。』  素っ気なさすぎか?と思いつつも、送ってしまえ、と送信ボタンを押した。  ・・・それから、蓮さんの返信も電話もなく、今日は諦めて寝てしまった。  翌朝、いつもより早めに目が覚め、着信があったことを知らせるランプを確認し、携帯に飛びついた。蓮さんからのメールが入っていて、確認すると、 『忘れ物は保健室に預けておく。』 という一言だけだった。 受信時刻を見ると、3:57だった。・・・昨日、四人で飲んだのかな?と酒に強いらしい二人だからあり得るな、と小さく笑みを零した。

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