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第1話
今日はクリスマス。いつもより少し手のこんだものを作ろうと早くから夕飯の下準備を始めた。純の好きな苺もたくさん用意したから、後でムースやケーキも作るつもりだ。
(あ、苺でサンタも作ろう)
下準備を一通り終えてリビングへ行くと、部屋にいたはずの純がソファに座っていて、思わず顔が綻ぶ。
(……わざわざサンタの格好してくれたの? やばい、可愛い)
後ろ姿しか見えないが、赤い服を着てサンタの帽子を被っている可愛い純を早く抱き締めたい。
けれど、前屈み気味の姿勢で動かないから、寝ているのかもしれない。静かに近寄ってソファの前へまわると、顔を上げた純と目が合った。寝ていたわけではなく、ぬいぐるみを抱き締めていただけらしい。
「めりーくりすます」
拙くそう言って、上目遣いで微笑む純に胸がドクンと高鳴る。
「っ……その服、どうしたの?」
肩の部分が大きく開いた服。そんな服、純は持っていなかったはずだ。
「拓人にもらったから……クリスマスだし着てみようかな、って……」
純は照れくさいのか、抱いていたぬいぐるみに顔を埋 める。
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