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俺が俺でなくなる 榊side
やっとみずえに会いに行ける…さなえに会える…
家はそのままそこにあって人の住んでる気配もあった。息を吐き久しぶりに玄関を開けた
みずえはいなくて汚れたさなえが一人で踞っていた。
すぐに察した…二年たった今でも…みずえはまだ壊れたままだって…
「さなえ…遅くなってごめんな…一緒に行こう」
ここにさなえを置いてはおけない…これ以上みずえの心を壊してはいけない…
「やだ…やだ…離して…離して…」
さなえは俺に怯える…どうして…
「さなえ?」
その時みずえが帰ってきた
「何しに来たの…さなえは渡さないから!」
さなえを背中に隠すと言い放ち刃物をもった
「みずえ!落ち着け。ちゃんと話をしよう」
「いやよ!話すことなんてないわ!」
みずえがやってくる。みずえの手から刃物を叩き落とす。床で鈍く光るそれをみやった
「さなえ!!それを向こうへ!!手の届かないところへ!!」
「さなえ!!私に渡しなさい!!」
「さなえ!」
「さなえ!!」
さなえはゆっくり刃物を持ち上げた…
「どうすれば…仲直りするの?…」
さなえは俺たちのこと大好きだって…ずっと言ってた…だから言い争う姿なんて見たくなかったのだろう…
そんなさなえの思いにみずえは気付けない…
「この人を刺して!!」
「そしたら優しくしてくれる?そしたらずっと側にいてくれる?」
あぁ…怖い目に遭ったんだな…辛かったんだな…ごめんね…さなえ
「勿論よ!!」
「わかった」
「さなえ…」
小さなさなえの持った冷たいものが俺を貫いた…
刺さった場所が悪かったんだろう…大量の血が流れていった。
みずえに話したいことが沢山あるのに…さなえにも…
俺は意識を手放した…最初にちゃんと話を聞かなかった俺への罰…ゆずの命の代わりに救われた俺への…
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