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俺が俺でなくなる みずえside

榊がさなえに刺された… この時私は自らのせいだってこと忘れてしまっていた。 都合の良い記憶ばかりが私の中に止まった どうしてさなえはそんなことしたの? 榊がいなければ私は生きている意味なんて無い… もう何も無い…私には何も… 冷たい水の中に身を投げた 次に目を覚ました場所は病院だった そこで働いていた繁さんと出会った 「お目覚めですか?松原さん」 「私…どうして…」 目覚めてしばらく私は叫び続けた。 榊がいない苦しみ…ゆずきを刺してしまった感触… さなえにしてきた数々の暴力… どんなに償っても償いきれない… 「大丈夫ですよ」 繁さんはとても優しかった。 ぽっかり空いた私の心の隙間を埋めてくれた 私は榊をやっと思い出にできた…今隣に繁さんがいてくれる…とても幸せ 幸せであればあるほどさなえのことが思い出された。 あの後自宅に戻るともうさなえはいなかった 探し出したけど面会さえさせてもらえなかった 何度も何度も通うけど会わせてくれなかった… そんなときさなえが引き取られたと聞いた さなえ…泣いていないかしら… 痛いことされていないかしら… 自分でしてきたことなんて棚にあげてそんなこと思ってた そうして十数年の時が流れた 「ねぇ。息子さん今いくつになったの?」 「16歳になるはず。高校一年生よ。会いたいな…引き取れないかしら…」 繁さんはゆずきのことは知らないはず… 「俺に任せて。探しだしてあげる」 そして本当に久しぶりにあの神社へ訪れた。 榊と気持ちを通じ合わせた場所 鳥居に目をやるとその下に会いたくて会いたくてたまらなかったさなえがいた 「さなえ…さなえだわ…」 「え?」 「ほら!あそこ!」 走り出した。 「さなえ!お母さんよ!」 さなえは何故か倒れた…おろおろしていたら繁さんが来てさなえを家まで運んでくれた さなえが目を覚ましたのは夕方だった それからさなえとの暮らしが始まったんだけどさなえがいなくなってしまいそうで怖くて… 薬剤師でもある繁さんに薬を作ってもらった さなえが動けない。安心する…その繰り返し。 それなのにさなえは私をお母さんだと認めてくれなかった。 だから躾をした 少し怖い思いもしないといけないって思った。だからナイフを取り出しさなえの白い肌を掠めていった。 滲み出る赤が白いさなえには似合っていて見惚れた 「おかあさん!やめて!」 やっとおかあさんって呼んでくれた。嬉しくてさなえの大好物を作ってあげるために買い物に出た。手当ては繁さんに任せて

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