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俺は俺でいい?

「おはよ。さなえ」 「…」 「さなえ。よく聞いて。久遠 繁は捕まったよ。もう出てくることはない。だから安心して?お前を苦しめる人はもういないから」 「茜…」 「やっと俺のことちゃんと呼んでくれた…嬉しい…」 「茜…俺は人を殺した…だからお前の側にはいられない…だから…俺のことは忘れて?」 「忘れるわけないでしょ。俺は…知ってたよ。でもねさなえ。お前は殺してないよ」 「え?」 そのときは部屋の扉が空いた 「さなえ…久しぶり。」 「お父…さん…?」 「俺は生きてるよ」 目の前にいる人は記憶の奥底にいた紛れもない俺の実の父だった 「お母さんは…」 「会ってきたよ。みずえのことは俺に任せて。出来れば会って欲しいんだけど…どうかな?」 「会いたい…」 「まずは元気になって。それからね。 あと…お前は好きな方を選ぶと良い。みのりさんたちといたいならそれでもいいし俺たちの元に戻ってきてくれるなら…嬉しいけど…」 「俺は…」 「返事はすぐじゃなくて良いよ。長いこと会いに来なかったのにこんなこと言われても困るよね」 「さなえ。榊さんが目を覚ましたのはつい最近なんだ。だから迎えにこられなかった」 「え?」 「あの日からずっと眠り続けていたんだ」 「…ごめんなさい…」 「お前に全て背負わせて悪かったな…本当にすまなかった…」 「ごめんなさい…ごめんなさい…」 そっと懐かしい手が俺の頭を撫でた 「ごめんね…さなえ…」 「さなえ!!さなえなの?」 大きな音をたてまた扉が開く… 「さなえ!!」

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