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俺は俺でいい?
そこにいたのは…
「…兄さん…」
「さーなーえー!!よがっだぁーっ…」
「えと…」
「ゆずきさん深い傷で榊さんが見舞いに来ていたときはこの辺りの病院にいたんだけど榊さんも行方がわからなくなって症状も思わしくなかったから都会の大きな病院に運ばれていたんだ。ショックからかお前と同じように幼い頃の記憶がなくてずっと施設で暮らしていたんだって。昔の記憶が最近になって戻ったそうだよ」
「よかった…よかった…兄さんも父さんも…生きてた…良かった…」
「さーなーえーごめんね!ごめんねー!!ずっと…ずっと…忘れててごめんね!ごめんね!!」
「ちょっ…鼻!鼻つけないでよ!」
「だっでぇー…」
そうだった…兄はこういう奴だった…
「さーなーえー!!」
「もう!!わかったから」
病室に笑いが広がった
兄はいつも明るくて元気が良くて正義感が強くてそれなのに泣き虫だった。
兄が笑っていれば回りも楽しくなるようなそんな人だった
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