159 / 356

俺は俺でいい?

一頻りみんなで笑い落ち着いた頃蓮華がこれまでのことを教えてくれた 全ては久遠姉弟がしでかしたことからの始まり… 姉はおそらく繁に殺されてしまったのだろう… 自分のためなら手段を選ばない男 優しく近づき自分の思い通りに動かす どんなものでも その繁が今どんな状態になっているのか…俺たちに知る術はない 「茜…」 「ん?」 「俺は…俺は俺で良い?」 「当たり前でしょ。俺のこと大好きなさなえが良いな」 「ばかっ…みんないるのに」 「もう話したから。榊さんにもみずえさんにもゆずきさんにもね」 「えっ!!」 「さなえ。こんな良い男離しちゃだめだよ!!茜くんもさなえ泣かせたら承知しないからね!」 頬を膨らませながら話す兄は年上にも関わらず可愛らしかった 「言われるまでもないです。俺はさなえがいないと生きていけませんので」 「頼んだよ。茜くん」 「はい」 「父さん。母さんはどこ?会いたい」 「いいかな?薊さん。みのりさん」 「勿論です」 母は隣の部屋にいた。 月明かりに照らされた横顔が恐ろしく綺麗だった 「母さん…」 「さなえ…よかった…今までごめんなさい…」 「母さんは悪くない。大丈夫だよ。父さんも兄さんも悪いなんて思ってない」 「榊…ごめんね…ゆずごめんね」 「もう!さっきも聞いたよ!!大丈夫だって。あれはもう過去だよ!!母さん辛かったね…ごめんね。何もできなくてごめんね」 「ゆず…」 「母さん。抱き締めて良い?」 「ゆず…」 ゆっくり頷いたのを見て兄が母の元へ向かいぎゅっと抱き締めた。 「頑張ったね。母さん…」 母は泣き崩れた。 それを父と3人で抱き締めた。 「みずえ。また俺と生きてくれない?俺はお前に辛い思いしかさせていないしお前の話を聞かなかったことまだ許せないかもしれないけれど…」 「榊…榊っ…」 子供のように泣きじゃくる母と父を残し俺たちは部屋を出た

ともだちにシェアしよう!