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「ただいま」 「あれ?蒼?今日遅いんじゃなかった?」 そのまま帰ってもする事はないので本屋に寄ってから帰ってきた。 帰ると親父が鼻唄を歌いながら料理を作っていた。 「まぁいいや。手伝って!今日はね俺とさなえが付き合い出した日なんだ」 「は?そんなん覚えてるの?」 「当たり前でしょ。今でも忘れないあれは…」 「わかった…わかったから…」 親父は事細かく昔の事を覚えてる。 まさか付き合い出した日まで覚えてるなんて… 確か高1の時…付き合ってなかったら監禁とかしようって思ってたってことも聞いたことがある。 我が親ながら怖い…まあわからないでもないけど… あの当時の写真も見せてもらったことはあるし… 本当に…昔から美人で…でも無自覚で…友人である蓮華さんや恒久さんも手を焼いていたとか…いつも誰かが側にいないと男にも女にも狙われてた…とはいえそれすら本人は気付いてない… うん…まるであいつと同じ…藍…っ…てあいつ大丈夫なのか? 確かあいつらどっちもイケる口で…藍のこと可愛いって言ってたやつが…あの中にいた… 「やば!!」 「なに!!どした?」 「今日…俺がブッチしたやつ…母さんみたいなやつで…」 「え!?」 「ヤバイかも…」 「早く行け!!何もないなら良い…でも何かあってからじゃ遅いぞ!近いのか?送ってくぞ」 「わりー…助かる」 丁度その時けたたましく俺のスマホが鳴る 相手は藍瑠だ… 「もしもし!!」 『…っ…んっ…やぁ!!あっ…助け……やめ…っ』 『だぁれに電話してるの?藍ちゃん…あ…あおじゃん。藍ちゃん可愛いよぉ。早くおいでよぉ』 「っざけんな!!何やってる!?」 ブチッ… 途中で電話は強制的に切られた 「ほら!!急げ!!蒼!!」 くそっ…何で… 車を飛ばしてもらい藍のマンションにつき部屋番号を押した 『おぅ。蒼。今開けるねぇ』 「おまっ…」 ゆっくりと目の前の扉が開く エレベーターに乗り込む。この時間が惜しい…

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