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そして…それから約2年…契約満了を迎え事務所を退所した。みんなに散々引き留められたけれど…
「本当にお世話になりました!みんながいたから俺は頑張ってこられました。支えてくださってありがとうございました…」
「萌葱。また仕事やりたくなったらいつでも声かけてね。何年でも何十年でも待ってる」
「ありがとうございます。」
これまで住んでいたあのマンションも他の人に譲り実家へ戻った。
「おかえり」
家族みんなで出迎えてくれた。今夜は最後の晩餐だ…明日の朝一の便で俺はここを離れる
愛しい人の待つ異国の地へ…
これからの人生の方が長い。途方もなく…
たくさん苦しいこともあるのだろう…でも…俺の愛した人と共に乗り越えていく…。
それが俺の選んだ道だから…
何で双子だったの?何で好きになってしまったの?何で緋色じゃないとダメなの?
何度も何度も繰り返してきた疑問…
…そんなの未だに答えは見つからない
でも今言えるのは…
「おかえり。萌葱。会いたかった…」
「ただいま…緋色。俺も会いたかった…」
この腕の中が俺の唯一の安息の地であり他には代えがたい場所なのだ…ということ
「萌葱…愛してる…」
「俺も…愛してる…」
fin.
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