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何だろう?この感覚
茜は食べ方まで綺麗だ
何もかも綺麗…箸を掴んでいる指先もゆっくり運ばれる食事を受け止める唇も…美味しいとふわりと笑う表情も…
「どしたの?さなえ。俺の顔に何かついてる?」
思わずぼーっと見惚れていたことに気付いて慌てて箸を進める
「ふふっ…そんな詰め込まなくてもさなえの分とらないよ」
「げほっ…げほっ…」
「ほらほら…もう…ほら…お水飲んで」
「んっ…ふーっ…誰も捕るなんて思ってねーよ」
「ほんと…可愛い…」
「お前さ…なんなの?」
「え?」
「俺相手なんかに可愛い可愛い言い過ぎ…そんなのは好きな子に言ってあげなよ」
「ん?だから言ってるんじゃん」
「はぁ?だから…そういうんじゃなくてほら…あーっ!もう…わかるだろ?モテるんだから」
「えーっ…さなえにモテなきゃ意味ないもん」
「お前な…もういいや」
「ねぇねぇもしかして俺に見惚れてたとか?」
「ちがっ!!そんなんじゃない」
「ちぇっ…そうだったら嬉しいのに」
「バカ…!!」
図星をつかれ焦る
何でこいつに見惚れてるんだよ…子供の頃から一緒なのに…今さら…
「おーい!さなえ」
「ん?」
「何か今日変。蓮華と仲直り?したんでしょ?」
「喧嘩してた訳じゃねぇし。蓮華のことたくさん聞いてきた。でもさやっぱり蓮華は蓮華だし俺はこれからも仲良くしていたい」
「ねぇ。蓮華はさ…友達でしょ?じゃあ…俺は?お前にとって俺って何?」
そんなこと考えたこともなかった
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