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アルバイト
「ご注文はお決まりですか?」
「あれ?君新しい子?」
「えぇ。普段は店頭に出ないですけど」
「イケメンだね」
「あはっ。ありがとうございます」
「っ…」
お客さんが息を飲む。何かおかしかったかな?…
「あの…ご注文は…?」
「ん。これで」
「かしこまりました」
平日にも関わらずいつも以上にお客さんが多くて終わった頃にはヘトヘトだった。
「おつかれさん。さなえ」
「お疲れ様です」
「急に悪かったな」
「いえ。亀さん大丈夫なんですか?」
「ん~足骨折したみたいで暫くは休まないとならないみたいだな。まぁ本人はいたって元気だから心配ないだろう」
「大事じゃなくて良かったです。じゃあ。お先です」
「うん。明日もよろしくな」
店を出るともう外は暗くなりはじめていた
「ねぇ。君!」
いきなり腕を捕まれる。振り返るとそこには今日のお客さんがいた
「ねぇ。これから一緒にご飯いかない?」
初めての女の子からの誘い。大きな胸を押し付けながら上目使いで見詰められる。でも…
「すいません。お客さんと店以外で親しくなるのは禁止されていて。なのでまたお店でお待ちしています」
「そう…なら…きゃー!!誰か!!」
「はっ?えっ?何?」
急に叫ぶからその辺の人が振り返る。
「ねぇ…これで私が助けてっていったらどうなると思う?」
「…」
「嫌なら…ねっ?ご飯くらいいいじゃない?」
「いえ…でも…」
「どうしました?」
急に背後から聞こえた低く響く声
「茜…」
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