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再会 茜side

「二人きりにして…北時さん…大丈夫でしょうか?」 「大丈夫です。さなえは一度決めたことは揺るぎません。何に対してもです。許すと言えば許す。そういう奴です。だから友達になりたければ自ら近づきます。2度と会いたく無いのであればここにも来ていません。あいつは理実くんを知りたいと思っています。だから…心配しないで?」 「わかりました…あの…木築さんは…」 「俺はさなえのやりたいことには従う。それだけです。本当は…俺は理実くんに何かしら罰を与えたかった。でもさなえがダメだといった。仮に俺が何かしてしまえばさなえまで傷つけてしまう。それだけは俺には出来ない。俺は何度もさなえに救われているんです。だからさなえの言うことは絶対なんです。俺が許せなくてもさなえが許す。それならば頷く。出来ることは協力する。俺はさなえに生かされているようなものです。理解はしてもらえないでしょうけど」 「理実には…沢山…苦しい思いをさせてきました…親なのにも関わらず理実の叫びに気がつけなかった…親として…失格です…でも…親だから…これからも支えていきたい…この過ちは無かったことには出来ません。これは理実と共に一生背負って償っていきます…」 理実の母親は強い人。光が宿る瞳は真っ直ぐで偽りはない。この人がいるのだからもうあいつは間違わない。それだけはわかる… でも…おそらくあいた心の隙間は母親じゃ埋められない…きっと新山が必要で… 「新山は…どうするの?」 「俺も一緒に背負う。俺はいつも理実に側にいてもらえたから…だから…俺は理実から離れない。どんな形でも」 「そう…あまり気負わないでね。これからもさなえのこともよろしくね」 「ん…」 「お待たせ。話終わったよ。」 「おかえり。んじゃそろそろ帰りましょうか」 そして帰路についた。 「さなえ。大丈夫?」 「大丈夫だって。今度理実誘って遊びにいこう」 「はいはい。お供しますよ」 「ありがとう」

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