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真夏のあつあつえっち編 ⑩

「じゅん……っ」  彼の切羽詰まった声に反応して、内壁がきゅうっと締まる。そこは、純の意思とは関係なく正和のものを絞り上げるように収縮し、強請るようにうねりを打った。  激しい律動に何も分からなくなって、彼の腰に脚を回して縋りつく。度を超えた快楽に、純は睫毛を切なげに震わせて、堪らず正和の背中に爪を立てた。 「あっ、あぁっ……まさかず、さん…っ、いかせて、も、やぁっ」  蒸し暑い部屋の中、二人の体温も一気に上がる。純の肌はしっとりと汗ばんで艶を増し、正和もまた全身に汗をかき、いつもとは違い雄々しい雰囲気だ。  彼の汗がポタポタと落ちてくると、純はそのたびにピクリと震える。 「あっ、あうっ、あ~~っ」  パン、パン、とお互いの肌が激しくぶつかり合って、正和がとうとう眉根に皺を寄せる。 「っ……いく、よ」 「はあぁん」  張り詰めた男根に引っ張られて秘玉がせり上がる。今にもはち切れそうなそこをようやく解放してもらえる。  ──そう思ったのに、最奥を突かれて彼の熱が腹の中に注がれても尚、イクことは許されなくて。純は歯をガチガチ鳴らせて背を仰け反らせた。 「おれも、おれも、いきたい」 「ふう……でも、何でもするって言ったのに、ちゃんとできなかったでしょ」  正和は純の顎からフェイスラインにかけてするりと手を伸ばすと、親指で頬を撫でて、意地悪く微笑む。  そんな正和の言葉に純は目を見開いて、瞳にじわりと涙を浮かべた。 「ごめんなさい、正和さんごめんなさいぃ、っ、ひっく、うぅ……っ」  前言通り今日は本当にいかせてもらえないのだと悟った純は一瞬にして青ざめる。霞がかった頭で必死に言葉を紡いで許しを乞うが、喉がつかえて言葉が出ない。 「うっうぅ……、ごめんな、さいっ」  正和もまさか純が本気で泣くとは思っていなかったようで、少し困惑した様子で額にキスを落とす。 「──まあでも、最後まで頑張ったからね」  そう言って、尿道からゆっくりプラグを引き抜くと、純の張り詰めた男根を優しく擦り上げる。 「あっ、あっ、っ……あぁっ──────っ!」  純は上下に数回扱かれただけで白蜜を爆ぜさせて、だらだらと長い間射精し続けた。  しばらくして落ち着くと、徐々に意識が戻ってきて、それと同時に疲れがどっと出る。 「あつい、しぬ……つかれた……」 「疲れたって純は何もしてないじゃ──っ」 「……ばか」 「じゅーんー。棒でつつかないでよ」  尿道プラグで脇腹をつつかれた正和は、純からそれを取り上げて、厭らしい仕草でそれを見せつける。 「それとも、もう一度これ使いたい?」 「っ、やだっ、もう無理だって! 今日の正和さん意地悪だっ」 「……ふふ、冗談だよ」  そう言った正和の表情はとても冗談には見えない。けれど、ちゃんと片付け始めたので、純は安心してソファに寝そべった。 「シャワー浴びたら、引っ越そっか」 「……え?」 「俺が持ってるマンション、いま空室(あき)あるから。今日清掃いれて、布団も買ってきたよ」 「引っ越すの……?」 「エアコンが直るまでね」  正和の言葉を聞いて純は目をキラキラと輝かせる。 「エアコンついてる?」 「もちろん」 「やっったぁーー! ひっ!!」 「そんな突然動いたら腰痛いでしょ。もう少し休んでなよ」  クスクス笑った彼にそっと転がされて、労るように腰をさすられる。 「純の荷物もまとめとくからゆっくりしてて。……オレンジジュースでいい?」 「う、うん。正和さん、ありがとう」  寝苦しい暑さとも今日でお別れだと思ったら気持ちもすっきりして、いつの間にか苛立ちもどこかへ消えていた。 「まさかず、さん」 「ん~?」 「さっきは、その、酷い態度とってごめん。……だ、だい、すきだよ……っ」  言い始めたら恥ずかしくなってきて、最後は誤魔化すような小さな声になってしまった。けれど、正和は一言一句聞き漏らすことなく、耳に入れて嬉しそうににっこり笑う。 「じゅ~ん~♡」  とっても意地悪だけど、それ以上に優しくて。そんな彼のことがやっぱり好きだなと再認識した暑い暑い夏だった。来年はもう少し涼しく穏やかに過ごしたい、そう思いながら純は正和の胸に顔を(うず)めた──。  おしまい。

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