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眠気吹き飛ぶ夜這いえっち編 ⑨

「じゅ~ん」  耳元で優しく名を呼ばれ腰骨の奥がぞくりと震える。とびきり甘くて少し低い声。わざと間延びした呼び方。意地悪する時によくするこの呼び方に純はとても弱い。  それを分かっていてやるのだから狡い。 「それとも……もう満足なの?」  加えて昂りを緩く扱き、その根元を握るような仕草で軽く掴む。  散々彼に苛められた身体は、それが何を意味するのか想像できてしまって腰を捩る。彼の最初の問いを否定すれば、今晩はもう射精させてもらえないかもしれない。 「じゅ~ん、教えて?」 「あっあぁ……たり、ない」 「本当に? なんか間があったけど」 「ほんと、に」 「じゃあ、言って。どうしたい?」  否定を許さないだけでなく、懇願までさせるなんて、本当に酷い男だ。 「うぅぅ……もっと、して…っ、正和さんと一緒に、いっぱ、きもちよくなりた──あぁっ」  正和はニタリと満悦な顔で、純の脚を軽く引いて、ずちゅん、と熱塊を突きつける。無遠慮に最奥まで捩じ込まれ、弱い所をぐりぐりと責め立てられて、腰骨の奥が熔けそうな愉悦に包まれる。 「いいよ。純が満足するまで抱いてあげる」  とっくに満足してる、という言葉はなけなしの判断力で、言ってはいけないと飲み込んだ。  イイトコロを掠めるように動いて最奥を突き立てられる。胸の尖端を爪の先でカリカリと擦られたら堪らない。腰をびくん、びくん、と震わせて、甲高い声をあげながら再び絶頂を迎える。 「あっ、あっ、だめ、とまって、イってる…いってるからあ……」 「ふふ、かーわい」 「あぁあっ、はあ、あ、だめ、ほんとに、もう……っ、ぃく、またいぐ……あっあぁ」  中を突かれるたびに、ぞくぞくと快楽の波が押し寄せて、純の腰が痙攣する。骨の髄まで蕩けそうな甘い痺れに、おかしくなりそうだった。 「純、愛してるよ…っ」  激しい行為とはかけ離れた甘い囁きと蕩けるような優しい口づけに、純はシーツを握り締めていた手を解き、全てを委ねるように彼の背中に腕を回した。  正和はそんな純をさらに愛おしそうに見つめて、抱きしめ返す。  熾烈(しれつ)な快感に堪えきれず、時折正和の背に爪を立てれば、その時だけは彼の責め苦も優しくなる。  気の遠くなるような愉悦と正和の重たい愛を一身に受けた純は、明け方意識を失う寸前「夜這いは二度としない」と心にきめるのだった。  おしまい。    

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