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1.進路
それは進路調査票から始まった。
1年の時から書かされるそれは、1年で卒業後のことなんか決められるかよと、適当に「進学」に丸をつけていた。2年の時も同様で、3年になったらさすがに具体的な名称とか書かなきゃいけないな程度に考えていた。
僕は付属の大学に行くつもりだったから慧陵大学って書いたのだけど、ルームメイト兼親友の雅人 が知らない大学の名前を書いているのを見た時驚いてしまった。
「え、雅人、大学別のとこ行くの?」
「ああ、言ってなかったか? さすがに大学まで下宿ってわけにいかないから地元の大学に行くことにしたんだ」
「えー……そんなー……」
「しょうがないだろう。これ以上親に金使わせるわけにいかないしな。うちは妹もいるし」
家庭の事情を聞いてしまえば言い募るわけにもいかない。けれどやっぱり納得がいかなかった。
「離れ離れになっちゃったら疎遠になるじゃんかー」
「休みの日に会えばいいだろう。長期の休みなら時間とれるだろ」
「そうだけどさー……雅人は寂しくないの?」
甘えるように言うと苦笑された。そしてトン、と指先で額を突かれる。
ああもうこういうところあざとくてやだ。
「卒業したら友だちじゃなくなるのか? そうじゃないだろ」
「わかってるけど……」
でもずっと付き合いがあるのは最終学歴の友人だって聞いたことがある。いくら三年間一緒に暮らしたからって、大学で知り合った友人にはかなわないんじゃないかって考えてしまう。ただそれを雅人に言ったってしょうがないからこの話はそれで終りだった。
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