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部長が運命の人ですか?5話
ぎゅっと、した西島は、
「よしよし、」
碧の背中をトントンする。
まるで赤ちゃんをあやすように。
こ、これでいいのかな?
碧がどう甘えたいのか分からない西島には手探り状態の甘やかし。
実際は甘えてなどはいないのだけれど、
神林の影響だ。
ぎゅっと抱きしめた碧はやわらかくて温かい。
子猫みたいだ。
それに何か甘くて良い匂いがするの。
ふわふわ、 そんなイメージ。
*******
えーーと、 この状況は何だろう? と碧は悩む。
西島の上に落ちたかと思えば次の瞬間見つめ合い、しかも、今は抱きしめられている。
ドキドキ、 ドキドキしたのに、 西島が背中をトントンしながら「よしよし」と子供を寝かすような行動を取り始めて、碧を悩ませる。
どうしたら良いのかな?
あ、もしかして僕が寝ぼけて落ちたと思ったのかな?
部長……………………………優しい!
きっと、そうだ!
また眠るようにと背中トントンしてくれているんだ。
昔、おばあちゃんに背中をトントンされながら眠っていた記憶を思い出す。
じゃあ、眠った方が良いのかな?
碧は目を瞑った。
部長……温かいですね。
それに良い匂いがします!
目を閉じても伝わる西島の体温と香り。
寝たふりする碧がそんな事を考えているなんて西島は気付いていない。
寝たふりの碧を見て、 マジで寝た! そうか、やっぱり甘えたかったのか! と感動していた。
腕の中で眠る碧が可愛くてたまらない。
子猫を寝かせたみたいだ。
それに碧の寝顔は幼くて可愛い。
だから、つい、
「可愛いな」
と口に出してしまった。
碧の頭を撫でると、抱き上げてベッドに寝かせる。
シーツを綺麗にかけて、「おやすみ」と碧へ呟く。
そして、碧を甘やかす為のおやつでも買いに行こうかと思いたつ。
そうだ、病気の時はフルーツとか、甘いものを親が買ってきてくれたもんな!
西島は財布を手に買い出しへと向かった。
パタンとドアが閉まる音がしたら、碧は目を開けて起き上がる。
「にゃ~」
諭吉が碧にすり寄ってきた。
「諭吉ー、部長が僕を可愛いって!」
碧は諭吉をぎゅっと抱きしめて嬉しそうにはしゃぐ。
「あとね、頭を撫でられたし、ぎゅっと抱っこしてくれて、背中トントンってしてくれたんだよ、凄くない?」
碧はかなりテンションが上がっていて、ベッドの上で足をバタつかせている。
嬉しい、嬉しいよーっ!夏姉ちゃんに話したい!
部長は凄く優しいんだよ。
それに可愛い!
熱を出して良かった!
なんて碧は幸せを噛み締めるであった。
*****
熱といえば、桃缶か?
スーパーの缶詰めコーナーで桃の缶詰めを手に取り悩む。
いや、これは昭和生まれの子供への対応だ。
平成生まれの子供は何を喜ぶのだろう?
熱があるから、冷たい物がいいよな?
じゃあアイスかな?
西島はアイスのコーナーへ行き、真剣に悩む。
フルーツも良いしなあ。
うーん……………西島は携帯を取り出して電話をかける。
「今度は何だ!」
電話の相手は神林。
「甘やかし商品って何がいいんだ?」
「は?」
説明不足の為、神林はきょとん。
「神林が言う通り、佐藤は甘えていたみたいだ、抱っこして背中をトントンとしたら安心したように眠ったからさ」
「…………えっ?まじで」
「そう、マジで。」
「やるなあ西島」
神林がそう言った理由は、甘えているとか言ったのは冗談だったし、まさか実行するとは思わなかったから。
侮れないな。
なんて、ちょっと感心した。
「で、何がいいんだ?」
真剣な声の西島に神林は込み上げてくる笑いを必死にこらえて、
「やっぱり、ハーゲンダッツだろ?碧ちゃんなら苺味だな」
と、碧のイメージで答える。
「分かった。ありがとう」
電話を切った西島、
とたんに神林は笑い出す。
やっぱ、千尋お前最高!
楽しみが出来たような感じがして神林は笑い続ける。
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