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第2話

 残り少ない高校生活。学校に行って三人でいても、居心地の悪さは相変わらずで、それに気づきもしないで、いつも通りに接してくる二人。もしかしたら、わざとそうしてるのかもしれない、と思ってしまう。そんなことを考えてしまうこと自体、嫌で仕方がない。離れてしまえば、考えずにすむかもしれないのに、離れられずにいる自分。ずっとその悪循環で、ただ時間だけは進んでいく。  そしてようやく、この繋がりから離れられる卒業式がきた。  涙する女の子もいたけれど、ほとんどが笑顔で学校の門を出て行く。俺たち三人はだらだらと最後まで教室で話をしていた。正確には、二人が話しているのを、俺がひたすら小さく頷いているだけ。それで、会話が成立してた。俺の存在は無意味でしかない。  それも今日で終わる。 「卒業しても、また遊ぼうね。休みとかには絶対戻ってくるし」 「最初はゴールデンウィーク?」 「あはは、それ、早すぎでしょ」 「やっぱ、地元がいいじゃん?」 「何、それ~」  帰ってこなくていいし。  俺のことなんか忘れていいし。  そう思ってるのに、言葉にはできなくて、ひたすら笑顔を貼りつける。その笑顔の意味なんて、この二人は知らない。 「そろそろ帰らない?」 「ああ」 「俺、もうちょっと、ここにいる」 「そう?じゃあ先に帰るね」 「またな」  そう言って一緒に教室を出て行く二人。出ていく時、二人が手を繋いだのが見えた。その瞬間、俺の胸に鋭い痛みが駆け抜けていく。  それでも笑顔を貼りつけたまま、見送って、ようやく一人。黒板の落書きを見上げて、ようやくいつもの自分に戻れる。不機嫌な顔しかできない自分に。  そして涙が溢れてくる。  これでようやく卒業できる。あの二人から卒業できる。やっと、嫌いな自分にも卒業できる。  寂しくない。寂しくなんかない。  涙をぬぐって、教室を出た。  じゃあね。ばいばい。さよなら。

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