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第2話
あの場所へ…
二人で初めて出会ったあの場所へ…
ゆっくり景色を眺める余裕もなく僕だけが時の流れから置いてけぼりにされたようで…
地面だけを見てゆっくり歩く
やがてさらさらと水の音がしてきて…
土手一杯に咲いたしろつめくさを踏みしめながら水面へ下る
ここで…初めて出会って互いが何者かも解らず引かれ合い…どちらともなく手を繋ぎ…唇を重ねた…
何度もここで逢瀬を重ねた…
そして教室で見付けたその姿に目を見開いて…
その時に切ってくれれば良かった…それなのにあなたは…
「3年…お前の卒業式までこうやって過ごそう」
「3年?」
「あぁ。3年。その日が来たらこの関係は終わりにしよう」
離れたくなかった俺はそれに頷いた
「改めて宜しく」
「はい…」
頭をくしゃりといつもするみたいに撫でて抱き寄せ口付けを交わした
後に聞いたがあなたは生徒のみならず教師までも魅了していたってこと…
噂は耐えなくて…僕だけではないんだと毎日思い知らされた
それでも良かったんだ…側にいられるならば…
「ことり」
「はい」
「愛してる」
「僕も」
そんな甘い言葉も僕だけのものではない…
「ことりはあまり笑わないけどお前は笑顔が綺麗だよ。俺はお前の笑顔が好き」
そう言うから僕はあなたの前では笑顔でいた。あなただけに見せる僕の笑顔
「ことりの笑顔で俺はすごく幸せになれる」
その言葉は本当ですか?幸せにできていましたか?
「ことりどした?」
「僕も一緒にいられて幸せです」
これは本当だよ?
後から後から溢れ出す温かな想い出は全て流してしまおう…
箱を開け鈍く光るリングをそっと夕日にかざす
「さよなら…センセ…」
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