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吹奏楽部に入りませんか?
「ねぇ、紅葉私も1つ相談……いや、お願いがあるんだけど」
私の相談が終わって5分くらい経ったころ優香ちゃんが話しかけてきた。
「……吹部入らない?」
「吹奏楽ね……」
私は別に音楽が嫌いになったから吹奏楽部に入らなかったわけではないし、今でも普通に楽器は吹いている。ここ1ヶ月は吹いていないけれど。
入らなかったのは全国の常連さんだから部員数が多いだろうと思ったから、そして部員の名前を覚えられる気がしなかったからだ。
「部員数って何人くらい?」
私は恐る恐る聞いてみた。
「んー……150人くらいじゃない?」
「ん……?」
思ったより……少ない?
「芽依、もっといたっけ?」
「んー覚えてなーい。ていうかねぇ、あんなの私でも流石に名前全員は覚えきれないからね?いーちゃんそれ気にして入らなかったんでしょ?」
ど、どうしてバレているのかしら。私一言も入らなかった理由言ってないはずなんだけど。
「どうしてって思ってるでしょー?そんなの幼馴染みだからに決まってんじゃーん!何年一緒にいると思ってるの?」
ケラケラ笑う芽依ちゃんの顔がちょっと怖い。
「と!に!か!く!入らない?いーちゃんなら普通にコンクールメンバーに選ばれると思うんだけど!」
「そんな……ここ1ヶ月近く楽器に触れてもいないのに。普通に吹いてる人たちに適うわけないじゃない」
「紅葉ならいけると思うよ〜?あんなちっちゃい頃からやってたんだし」
私は4歳の頃から楽器を始めた。
始めたきっかけはテレビだった。
とある番組でオーケストラを見てかっこいいと思った。そしてそれに夢中になっているとパパが「やってみたい?」と聞いてきたから頷いた。ただそれだけのことだった。
それからやる楽器は増えていき、今では10種類以上の楽器を演奏している。
「いーちゃん、いや、紅葉ちゃん!私たちと一緒に吹奏楽部やろう?」
「私なんかが入って邪魔じゃないかしら?こんなだし、それにコンクール曲の練習だってとっくに始まっているでしょう?」
コンクールは7月の終わり。そして今は6月の初め。あと2ヶ月もない。
きっと強豪校のこの学校ではコンクール曲の練習は2月、いやもっと早いかもしれない。そのくらいから始めているはず。
その中で急に私が入っても邪魔者扱いだろう。
「いやいやいや、邪魔になんかならないでしょ。いくら部員が多いからとはいえ紅葉ほど上手い人はそうそういないの。それに初心者も結構いるし。」
「そう……かな?」
「そうだよ!だから部活、入ろっ?ねっ?」
なんか……芽依ちゃんの目がキラキラしてるんだけど……。もうこれ断れないわよね。私も入りたい気持ちはあるし。そうなると答えは1つしかないわよね。
「吹奏楽部、入るわ」
「やったぁ!」
「んじゃ、入部届けあげる」
優香ちゃんがスッと鞄から入部届けを出し……ん?
「あの……優香ちゃん……?なんで入部届けなんて持ってるの……?」
「なんでって……紅葉に必要だと思ったから」
私が吹奏楽部に入るのはわかってたってことね。
「それ全部書いて明日持ってきなさいよ。放課後教室に迎えに行くからね」
「わかったわ」
明日は忙しい日になりそうだわ。
あぁ、篠宮くんにいつ伝えよう……放課後は部活があるらしいから……昼休み?
うん、昼休みにしましょう。
「暗くなってきたし、帰ろー!」
そう言われて外を見ると外はいい感じに暗くなっていた。
「ええ、帰りましょう」
家が近いとはいえ、2人は女の子なので1人にすると危ないと思い家まで送って私は家に帰った。
家に帰り部屋に入って私は拓麻に“答えが出たわ”とLINEを送りそのまま気を失うように寝た。
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