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息子の恋愛事情
紅葉がリビングから出て行った後のお話です。
Side父
俺は今まで仕事が忙しく、あまり育児を手伝っていなかった。だから育児は妻に任せっきりだった。
それがいけなかったのだろうか。それとも他の子供達がみんな女だったからなのかわからないが、息子がいつの間にかオネエになっていた。
だから恋人もきっと男なんだろうなと思っていたら本当に男でショックを受けている自分がいる。
紅葉が選んだ人ならいいと思ったがやはり同性として可愛がってきた息子が男の恋人を作ったとなると……。
「パパ、紅葉さ最近すごい幸せそうなんだよね」
紅葉の双子の妹の銀杏が話し始めた。
「私は紅葉と高校違うし、相手がどんな人かわからないけど、きっといい人なんだと思う。小学校の時からよく告白されてたけど誰かと付き合ったことなんて1回もなかった。でも付き合ったってことは紅葉もその人のことがすごい好きなんだよ。だからそんなに考え込まないで認めてあげて」
銀杏の言うように最近紅葉はすごく幸せそうな雰囲気がある。
でも、だからといって見ないと安心できないじゃないかぁぁぁ……。俺の、唯一の愛息子なんだぞ。
「パパ過保護すぎでしょ〜」
今度は末っ子の優奈が話し始める。
「大丈夫だよ、いろ兄は。いろ兄だってちゃんと考えて付き合ってるはずだし。それに相手が変な人だったりいろ兄に何かあったりしたらたっくんが黙ってないはずないもん!」
拓麻くんか……確かにあの子なら黙ってないだろう。それでも心配なものは心配なんだよぉぉ。
確かに過保護すぎるのは自分でもわかってる。だがもし子供達に何かあったらと考えると想像するだけで怖くて……。
「もう、勇志さん、しっかりして」
今度は俺の嫁の瑞希が話し始める。
「紅葉だってもう高校生なの。自由に恋愛してもいい頃じゃない。そんなに過保護だといつか紅葉に嫌われるわよ」
うっ……胸が痛い……。紅葉に嫌われるのはかなり辛いものがある。だけど紅葉が傷つくことと比べると嫌われる方がマシだと思える。
「2人とも、諦めましょう。目で見て判断してもらうしかないわ。さ、お風呂入っちゃって」
「んー」
「わかった」
3人が何を話しているのかすら聞こえないくらいに俺は考えていた。
誰に何を言われようと心配なものは心配。過保護でも何でもいい。紅葉が本当に幸せに生きていけるようにするのが俺の役目だ。
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤSide end
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