81 / 225

覚の章16

「あっ……」  天上から吊り下げられた、紅い縄。肩をはだけさせ、着物を乱され、織は縛られていた。手を後ろ手に拘束され、胸を強調するような縛り方。さらに、下腹部にもぐるぐると縄が巻かれており、臍から下がぐっと締め付けられている。はぁ、と艶かしい吐息をこぼす織を見つめる玉桂の表情は、ご満悦。 「くく……いやらしいぞ、咲耶。おまえの白い肌には、紅がよく映える」  玉桂が織の周囲をゆっくりと円を描くように歩く。にたにたと笑い、前後左右から、淫らな織の体をじっとりと舐めるように見つめた。 「これから、何をされるか……想像がつくか?」 「……いえ……」 「ふふ、調教だ。他の男のことばかりを考えて乱れる、いやらしいおまえの体を、じっくり丁寧に私が調教してやる」 「えっ……」 「浴場で竜神の名を呼びながら、自らの体を慰めていただろう? その、仕置きだ」 「……っ!?」  にいっと笑って、玉桂が織の唇に指で触れた。  まさか、浴場での自慰を見られていたなどと想像もつかなかった織は、急激に恥ずかしくなって、そして恐ろしくなって玉桂から目を逸らす。あんな、はしたなくて背徳的な行動を見られていたなんて。そして、鈴懸の名を呼んでいたことを、玉桂に見られていた――それがバレたら。 「こうして、指をしゃぶっていたなあ? くく、切なかっただろう? そんなに、あの竜神の口付けが恋しかったか」 「うぅ、……申し訳、ありません……」 「善い、善いぞ。素直に言うといい。どうなんだ? お前は今、竜神をどう思っている」 「あぁ……」  玉桂が織の背後にまわる。そして、くっと反った織の胸に大きな手のひらを這わせた。つんと勃った桃色の乳首をきゅうっと摘み上げれば、織が頬を染めて体をくねらせる。  隠していた、潰していたはずの想い。それを口にしてはいけないと、そう思うのに――言わなければ、何をされるかわからない。鈴懸の名を呼んで自らの体を慰めていた、あの時の切なさを思い返し、織は震える唇を開く。 「……お慕い、申しておりました。鈴懸さまに、たった一度でいいから、口づけをして欲しかった……でも、もう、……諦めています。私はもう、玉桂さまのものです。鈴懸さまのことは、……」 「諦めているのに、竜神の名を呼んで尻穴を弄ったのか?」 「……っ、申し訳ありません……もう、二度と、しません……」 「口ではいくらでも謝ることができるぞ? おまえがやったことは、浮気だ。おまえはもう、私の女なのに竜神の名を呼んだのだ。それがどれほど罪深いことか……教えてやろう」 「あぅっ……! た、玉桂さま……おゆるしください……あっ……!」  ぎゅむっ、と乳首を引っ張りあげて、こりこりと強くこね回す。そして、それと同時に、玉桂は織を拘束する縄に妖力を流しこんだ。全身にぐるぐると巻きつけられた縄が、ぎゅうっと締まっていく。下腹部を締め付ける縄がぐぐっとキツくなっていけば、織のナカが圧迫されて、前立腺が疼きだす。 「あぁっ……玉桂さま……あっ……お、おゆるしくださいっ……あぁ……あっ――」  織は玉桂がにやにやと笑いながら見つめているなかで、達してしまった。がくんっ、と脱力して、性器からぼたぼたと潮を垂れ流す。がくがくと震える太ももを潮がだらだらと伝っていって、織の足元に水たまりをつくっていった。 「ふふ、誰が漏らして善いと言った」 「も、申し訳ございません……」  羞恥に涙を流す織。玉桂がべろりとうなじを舐めあげると、織は熱い吐息を唇からこぼし、天井を仰ぎ見た。  玉桂の手のひらが、大きく織の体を撫でる。火照る体はひどく敏感で、撫でられるだけで織の体からは玉のような汗が吹き出てきた。汗でしっとりとした肌はくねる度にてらてらと光り、行燈の紅い光を反射する。 「抱かれるために生まれてきたような体だなあ……いやらしい体よ。きつい仕置きもきっと、悦ぶんだろう?」 「そんなこと……」 「では……やってみようか?」 「あっ……」  玉桂ががばっと織の着物をめくりあげた。そうすれば織の白い臀部が顕になり、その可愛らしさに玉桂は目を細める。 「形の良い尻だ」 「や……」 「ふふ、この尻を竜神の前で振って誘惑などはしなかったのか?」 「し、してません……!」 「勿体無い……そら、私が堪能してやろう」 「ぁんっ……」  玉桂のごつごつとした手が、がしっと織の尻肉を鷲掴みした。孔に響くくらいに激しく揉みしだかれて、織はふるふると睫毛を震わせながら耐えている。破廉恥な言葉を囁かれながらこんなことをされると、妙な気持ちになってきてしまう。 「ふっ……ん、んっ……」 「最高の揉み心地だ、はっはっは」 「や、やめて……ぁんっ……」 「んん? 何か言ったか、咲耶? 仕置きだ、と言っただろう。ほら、もっとイイものをおみまいしてやろう!」 「――ぁひっ……!」  顔を真っ赤にしていやいやとした織に、玉桂がわらいかける。  そして、ぐにぐにと揉みしだいていた手を尻から離したかと思うと――勢い良く、振り下ろした。  ぱぁんっ、と鋭い音が鳴って、織の臀部が玉桂にぶたれてしまう。 「痛いのも、善くなるんだろう?」 「いや、……いや……」 「くく、そら、もう一発だ!」 「あぁんっ……!」  ぱしぃっ、ともう一度、打たれる。  ぶたれたところが、ひりひりとして、痛い。ひぐひぐと泣く織を愛おしげに見つめて、玉桂は紅くなった尻を撫でてやった。 「うっ……ふ、……おゆるし、ください……」 「ん~? 違うだろう? 「もっとしてください」、だろう?」 「うぅ……」 「そら、鳴け」 「んぁっ……」  はらはら。織が涙を流す。その雫に、玉桂はうっとりと微笑んだ。  愛らしい、織。なんて可愛いのか。はだけた肩に舌を這わせれば……しっとりとした熱気が、舌に染みてゆく。  ぱちん、もう一度、今度は優しく尻を叩けば、織の体がびくんっと震える。もう一度、もう一度……何度も何度も、叩いてやる。 「あっ……ん、……」 「ほうら、感じてきただろう? また勃ってきたぞ?」 「ひっ……う、……」  叩かれると、振動でイイところが刺激される。そのせいで、織の下腹部は熱くなってしまって、なんと尻を叩かれただけで感じ始めてしまったのだ。  ぱし、ぱし、とゆるやかな速度で、玉桂が尻を叩いてくる。こんなことをされて感じてしまう自分に恐ろしくなって、織は何度も何度も「いや」と言ったが、玉桂の責め苦は止まらない。叩かれるたびにゆらゆらと織の体は揺れ、縛り上げる縄がきしきしと音をあげている。 「ぁんっ……あっ……」 「乳首もぷっくりと膨らんできた……いやらしい気分になってきたんだな、咲耶」 「そんなこと、……あぁんっ……」 「体は素直だぞ? ふふ」  ずくん、ずくん、と下腹部がうずく。もう内ももはびしょ濡れ、勃ったものからの先端からはとろとろと蜜が溢れ続けている。  こんなことをされて感じてしまう……いやなのに、はしたないのに。玉桂に開発されきってしまった自分の体が嫌で仕方なかったが、そんな織の想いとは裏腹に体は濡れ続ける。 「あっ……あぁんっ……」 「くく、ほら、ねだってみろ「もっと叩いて」、と」 「やっ……そんな、はしたないことっ……あんっ……」 「んん~? 言え、咲耶。もっと気持ち良くしてやるぞ!」 「あぁっ――!」  ぱぁんっ! と一際強く、織の尻が叩かれた。その瞬間、織はビクンッ! とのけぞって、甲高い声をあげてしまう。  ひくひく震える織を見て、玉桂がにたりと笑う。そして、もっと織をおかしくしてやりたい――そう思い立つ。がしっと織の尻肉を鷲掴みし、そのままぐいんぐいんと激しく揉みしだき腰を揺すってやった。そうすれば、織は顔を蕩けさせて甘い声を上げ始める。 「あぁー……! あぁ……あぁあー……!」 「楽になりたいだろう? 言え、言うんだ」 「はぁっ……ううっ……も、……もっと……」 「ほら、はっきりと言うんだ!」 「もっと……叩いてくださいぃっ……!」 「いい子だ。そら、鳴け! 咲耶!」 「はぁんっ――!」  焦らされ、じわじわとした快楽を与えられ続け。とうとう織は懇願してしまう。  言った瞬間に、玉桂が思いきり織の尻を叩いた。パァン! と鋭い音がなったが、織は痛がることはなく、たまらないといった顔をして儚い声をあげる。 「叩かれて、気持ちいいんだろう、咲耶!」 「ぁんっ! 気持ちいいっ、ですぅっ……あぁんっ……」 「そら! もっと鳴け! 仕置きをされてアンアン鳴く雌猫め!」 「ぁひっ……! あっ……! あぁんっ……! ぁんっ! あぁッ――……!」  ぴゅっ、ぴゅっ、と潮を飛び散らせながら、織は喘いだ。叩くたびに潮が飛び出すものだから、玉桂は楽しくなってしまってバシンバシンと何度も織の尻を叩く。ギチギチと縄が軋んで、織が藻掻いても藻掻いてもぎっちりと拘束して放さない。  何度も何度も織の尻を嬲って、潮も出てこなくなると、ようやく玉桂は叩くのを止めた。自分を吊り下げる縄を頼りにぶらんと力なく立っている織を見つめ、満足げに微笑む。 「くく、仕置きなのに悦ばれてしまったなぁ。いやらしい声をだしよって」 「ぁ……、ん……」  恍惚とした顔をして、はーはーと深い息をついている織。玉桂はそんな織の尻肉を両手で鷲掴みするとぐっと左右に広げ、隠れていた孔を曝け出させた。はく、はく、と息をするようにして疼くソコ、そして時折キュンッとヒクつくソコ。 「尻を刺激されてナカにも欲しくなったか?」 「んっ……」 「まったく……他の男のことを考えて自慰をして、仕置きをされて体を熱くして……実にいやらしい破廉恥な体だ、咲耶。ほれ、まだ体が疼くんだろう? 素直に言ってみろ、私の肉棒が欲しいと」 「あっ……!」  ずぶっ、と玉桂が指を一本、織のナカに挿入する。そして、ずぼずぼとナカを掻き回すようにして抜き差しをした。 「おお、締まる締まる。寂しがっているぞ、おまえの尻穴は」 「あっ、んっ、ぁひっ、」 「ほれほれ。ねだってみせろ」 「あっあっあっ」  どんどん激しくなってゆく抜き差し。たぱたぱと精液が垂れてきて、脚がガクガクと震える。もう立っているのが辛くて……そして、奥の方が熱くて。玉桂の男根にめちゃくちゃにされるのが嫌なのに、もう自分は純粋でないとわかっていても辛いのに。欲しくて欲しくてたまらない。奥に太いものをずぶりと突き刺して欲しい。 「ほしっ、……欲しい、ですっ……たまかつらさま……」 「何をだ? 何をどうして欲しい?申してみい」 「たまかつらさまの……太いものっ……あっ、はぁっ……私の、お尻に、……奥まで挿れてくださいっ……」  とうとう耐えきれなくなって。織は言ってしまった。  言いようのない喪失感に襲われて、織の全身から力が抜けてゆく。このまま体から心までを支配されてゆくのだと思うと、ひどく哀しくなった。 「くく、よく言った。お望み通り……おまえのいやらしい体を抱いてやろう」 「あっ……」  ちゅぷ……と音がたてられて、織の孔から指が引き抜かれる。そして、織を縛りあげていた天井に括り付けられている縄がぶちりと切れて、織の体は畳の上に崩れ落ちた。  ぐったりとしてしまって、畳の上に力なく横たわる織。散らされた花のようなその体を、玉桂が抱え上げて布団まで運んで行く。 「さあ、私を楽しませてくれ、咲耶」 「うっ……」  上半身は縛り上げられたままうつ伏せにされ、腰だけを持ち上げられる。秘部を玉桂に突き出すような格好をさせられて、織は羞恥で体を熱くした。空気にさらされヒクヒクと疼くそこに、じっとりとした玉桂の視線を感じる。 「ひ、ぅ……」  ぴたり、孔に熱いものの先端をあてがわれ。孔がきゅうんっと締まる。欲しがりなソコに玉桂は厭らしい笑顔を浮かべた。がしりを織の細腰を掴むと、その状態のまま軽く腰を揺すり始める。 「ぁっ……んっ、あっ……」  先端で、いりぐちを擦られる。にゅるっ、にゅるっ、といやらしい感覚に、織は目をとろんと蕩けさせて悶えた。  奥の方に欲しくてたまらなくて、もうナカ全体がきゅんきゅんとヒクついている。玉桂も、織の体がそうして焦れていることをわかっているのだろう、わざとらしくずるんずるんとソレを擦りつけてばかりでなかなか挿れようとはしない。 「ん……ん……」  しかし、織が目を閉じてぽろぽろと涙を流し、頬を染める――そんな愛らしい悶え姿をみて、玉桂自身も焦れてきた。この可愛い可愛い織に、ずぶっと奥まで挿れてあげたら……どんなに悦ぶだろう、それを想像すると、なかなかに耐え難い。 「――挿れるぞ、咲耶」 「あっ……」  玉桂のモノも、はちきれんばかり。流石に耐え切れなくなった玉桂が、とうとうソレをナカに挿れてゆく。 「あっ――あ、あぁあ、あ……」 「ああ、やはり名器だな……すごい締め付けだ」 「は、ぁッ――……あ……」  ず、ず……とゆっくり肉棒は侵入してゆく。ぎゅうぎゅうと締め付け悦びの声をあげる肉壁に、玉桂は瞳を眇めた。すさまじい快楽、征服感。ぐりぐりと奥へ奥へと押し込んでゆくと、織をこの肉棒だけで支配しているような気分になる。  最高だ。最高の気分だ。  玉桂はくっと吐き出すように嗤い、そして、――ズドンッと奥を突き上げた。 「アッ――」  びりびりとした刺激が襲い、織は意識が飛びそうになった。待ち望んだ挿入に体中が悦びの声をあげて、指の先まで力が抜けてゆく。 「は、あ、……」  強烈な快楽で、織の体はぴくぴくと細かく震えて動かなくなってしまった。腰だけを高くあげて、力なく布団に這いつくばっている。  玉桂はぐったりとした織を見下ろして、恍惚と目を細めた。乱れた着物からはだけた白い肌は行燈の灯に染められて、艶めかしく桃色に染まっている。そんな柔肌に食い込む、紅い縄。抵抗するようすもなくくたりと腰をこちらに突き出している姿は、堕ちた女のよう。  あまりにも美しくて、あまりにも淫らで。耳をくすぐる吐息混じりの声は、愛らしい秘めやかさ。玉桂の征服欲を煽るに過ぎるくらいの、織の色香がそこにあった。 「たまらないなあ、咲耶。昔よりも善くなったんじゃないか?」 「ふっ……う、……」 「肉体(いれもの)が昔とは違うような気がするが……もしやその肉体が上質なのか?」 「……っ」  あまりのそれに、玉桂は黙ってはいられなくなった。  ぐぐっと腰を織の尻に押し付けて肉棒を最奥まで押し込みながら、覆いかぶさるようにして織を抱きしめる。そして、ぐっと顎を掴んで無理矢理に視線を交わす。 「そうだ、昔の咲耶にはなかった……おまえのような透明は。いくら穢しても穢しても、おまえはなかなか私に染まろうとはしない」 「ぁ……わたし、は……もう、じゅうぶん……あなたさまの、ものに……」 「ふふ、なってないなあ。美しいのだ、おまえは」 「んんっ……」  奥に挿れたまま、玉桂が腰をゆっくりとゆすりだした。ひくひくっと震えた織の睫毛に、涙の雫が光る。 「あっ……あぁ……あ……たまかつらさま……ん……あっ……」 「おまえは、きっとまだ、私と口付けできないのだろう?」 「……っ、そんな、こと……、……そんな、こと、な……、……」  くちゅ、くちゅ、と水音が部屋に響く。敷布がこすれる音が耳に障る。最奥にぐりぐりとされたままナカを擦り上げられて、織のアソコはとろとろに蕩けてしまってる。  秘めやかな織の吐息、それを奪うようにして玉桂は顔を近づけたが――織の瞳からは、ぼろぼろと大粒の涙がこぼれ出す。 「うっ……うー……あっ、……あ、……うー……」 「そら、まだできない。ふふ、燃えるなあ、おまえを堕としたくてたまらない」 「おとし、てぇ……たまかつら、さま……ぁんっ……あっ……」 「くく、なんと愛らしい」  イカせてもイカせても、心のどこかで想い人のことを忘れらない織のことが、玉桂は気に入ったらしい。  「咲耶」は、はじめから心を闇に堕としていた。淫らで美しく、しかしそこに魂の輝きが存在しなかった。魂はここでようやく、織が「咲耶」と違うということに気づいたらしい。どんなに犯しても穢しても、決してその輝きを失わないこの肉体(いれもの)は――「咲耶」ではない、と。 「――おまえ、名をなんという。おまえ自身の名前を、私に告げるがいい」 「あ……、ん、ぁ……織、です……碓氷 織……と申します……あっ……」 「そうか――織、か。美しい名だ――ああ、おまえを嫁にしたくて堪らなくなったよ、織。何が何でも、おまえの心を竜神から奪ってやろう」 「ひぁっ……」  「織」。その名を呼び、玉桂はにんまりと微笑んだ。口にしてみればその響きは心地よく、この肉体と魂に真にふさわしいもののように思えた。  玉桂は織をぐっと抱き上げると、向い合せに座るようにして、もう一度織のナカに熱を挿入する。縄を断ってやり、解放されたその体をぎゅっと抱きしめてやった。 「あぁんっ……!」 「ふふ、可愛い奴よ。織、はよう、私のものになるがいい」 「あっ、あぁっ……! 私は、たまかつらさまの、もの、ですぅっ……あんっ……」 「くく、そうかそうか、では私と結婚せねば。私に一生を捧げよ。それまでに――完全に、私のもとへ堕ちてこい」  ぐんっ、と織を突き上げれば、織は蕩けた声をあげて、ビクンビクンと震えた。自由になった手で玉桂に抱きついて、ちかちかと飛びそうになる意識を必死に繋ぎ止める。 「次の満月の晩――婚儀を開こう。そこでおまえは、私の永遠になるのだ。なあ、織……婚儀では、口づけをしようではないか」 「ぁんっ、あっ、わたしは、……わたしは、っ……あっ……」 「私もおまえに、本気になってしまったようだ」 「あぁっ――」  奥を、最奥を、何度も突き上げられて。ナカに精を注がれると、それと同時に織もイッてしまった。どぷどぷとナカが満たされていって、織ははーはーと深い息をつきながら、玉桂にぐったりともたれかかる。 「……たまかつらさま……」  こんなにも、玉桂に抱かれることに快楽を覚えてしまうのに。ナカに注ぎ込まれてソコをきゅんきゅんとさせてしまうのに。どうしても、どうしても……口づけだけができない。いつまでもいつまでも、脳裏に鈴懸の名をちらつかせてしまう自分が、恨めしくてしょうがなかった。 「……わたしに、……恋を忘れる方法を、教えてくださいませんか……たまかつらさま……」  ビクンビクンとイきながら、涙を流す織。玉桂はそんな織のこめかみに口づけを落とし、苦笑いをする。 「――それができたなら、私はこんなに必死になっていないさ」

ともだちにシェアしよう!