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第13話

講義が終わり、門を抜けようとした所でスーツ姿の男性に声をかけられた。 「塚田蒼斗様ですね?旦那様の御依頼でお迎えにあがりました、佐久間です。」 初老の男性は蒼斗に向かって、丁寧にお辞儀をした。 「貴方は…父さんの……。」 まさか大学まで迎えに来るとは。 別に今更逃げようなどと思ってもいなかったが。 「詳しい話は車内で致しましょう。お乗り下さい。」 そう言われ、恭しく扉を開けられた。 「…わかりました。」 父親が寄越した人間だ、抵抗したところで勝ち目は無いのだろう。 半ば諦めて、停められた車に乗り込んだ。 「蒼斗様、随分ご立派に成長されましたね。貴方に最後にお目にかかったのはかなり前だったと記憶しております。」 運転中の佐久間の表情は伺えないが、とても優しく懐かしい気がした。 「大学生ですからね、いつまでも子供ではありませんよ。父さんにも理解して頂きたいものです…。」 散々βだからと放ってきたのだから、今更放っておいてほしかった。

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